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「恋とスフレと娘とわたし」

2007.8.28

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9月1日より公開される「恋とスフレと娘とわたし」の試写。


監督:マイケル・レーマン 脚本:カレン・リー・ホプキンス、ジェシー・ネルソン 撮影:ジュリオ・マカット 音楽:デヴィッド・キティ 出演:ダイアン・キートン、マンディ・ムーア、ガブリエル・マクト、スティーブン・コリンズほか 上映時間:102分 配給:2007年米/東北新社


スウィーツショップを経営する未亡人のダフネ(ダイアン・キートン)は、女手ひとつで3人の娘を育て上げた。長女と次女は無事に結婚したが、三女のミリー(マンディ・ムーア)だけは、なかなかまともな彼氏に恵まれない。ミリーの身を案じたダフネは、ミリーに内緒で花嫁募集のWEB広告を出すことに……。果たしてミリーに幸せは訪れるのか?


ちょっぴり笑えて、ちょっぴりせつない、ハートウォーミングムービー。


娘の結婚相手を探そうと懸命になる母親。「WEB広告」というのが、いかにもイマドキだが、その親心自体は、昔も今も何ら変わりがない。日本にもかつて娘にお見合い写真を押しつける母親が、そして、そんな母親のおせっかいに抗う娘がいた時代があった。つまり、本作のテーマは決して新しくない。子供を思う母親と、自分の人生は自分で切り開きたいと思う娘の物語である。


ミリーの前に現れる男は、社会的な地位も考え方も対照的な“建築家”と“ミュージシャン”のふたり。大半の客はハナから、どちらがミリーにふさわしい男か察するが、ミリー自身はそれを計りかね、同時にふたりの男と逢瀬を重ねる。そして案の定、片方の関係はしだいに深まり、もう片方の関係は(一見深まったようで)弱まっていく……。


二またの代償を払うと同時に、ミリーがはたと自分の気持ちに気づくというシークエンスは、あまりにストレートすぎるが、不器用なミリーが“自分らしさ”と“理想とする結婚像”のはざまで葛藤する姿は、多くの独身女性の共感を誘うだろう。また、スフレの焼き具合にミリー自身が見失っていた自分の気持ちを教えられるという比喩も、(ベタながらも)ほのぼのとせつなさを誘う。


一方、本作のもうひとつの見どころは、娘におせっかいを焼きまくる母親のダフネの存在である。愛情は理解できても、おせっかいは大迷惑——それがきっと万国に共通する子供側のホンネ。しかしながら、そうは言っても、ついつい口を出してしまうのが、母親というものなのだろう。とりわけダフネは、そんな“ついつい”の度合いが激しいドタバタMAMA。その一挙手一投足の激しいこと、激しいこと(笑)。


そんなドタバタMAMAと3人娘の明け透けすぎるほどオープンなやり取りは痛快すぎるほど痛快で、「これが親子の会話か?」と思わせる下ネタ話までもがガンガン飛び出す。セキララという言葉が陳腐に思えるほどディープな親子のやり取りは、日本にはあまり見られない価値観ゆえに、興味深いやら、開いた口がふさがらないやら(笑)。


しかも、機関銃のごとく全編に放たれた小ネタ——愛犬、Hなサイト、変な笑い方、低血糖な精神病者、ケーキ、ギター、面接、携帯電話、水玉の服、静電気、模様替え、オシャレなBGM、パスタ、暴れっぷりが◎なわんぱく坊主、ペニス&ヴァギナ、家族で合唱……etc.——のかずかずにもア然とさせられる。“軽い”と言ってしまえばミもフタもないが、大黒柱の恋愛物語を、小ネタの応酬で補完してみせた手腕は見事というよりほかない。


本作「恋とスフレと娘とわたし」は、恋に迷う小羊(女性)たちに共通するであろう人間の無知と成長を、小難しい話をいっさい割愛して、甘くハートフルな笑いのスパイスを織り交ぜながら描いた秀作。オススメ対象は女性だが、“のぞき見”好きな男性もそこそこ楽しめるだろう。


強いて言うならば、ダフネのハツラツぶり&おせっかいぶりは少々くどすぎるし(痛々しすぎる?)、小ネタがやや下品すぎるキライはあるが、そんな彼女たちだからこそ築き上げることができた明るく元気な「母+3人娘」家族に、ある種の理想を見てしまうのもまた事実。オーガニズムの話で盛り上がれる母と娘の関係……、それってやはり無敵だと思う。


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