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映画批評「2012」

2009.11.20 映画批評

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11月21日公開の「2012」。


監督・総指揮:ローランド・エメリッヒ 製作・脚本:ローランド・エメリッヒ、ハラルド・クローサー 出演:ジョン・キューザック、キウェテル・イジョフォー、アマンダ・ピート、オリヴァー・プラット、タンディ・ニュートン、ダニー・グローヴァー、ウディ・ハレルソンほか 上映時間:158分 配給:2009米/ソニー


2009年。惑星が直列に並ぶ現象を受けて、太陽の活動が活発化。強い放射線によって地球内部の熱が上昇していた。この異状をいち早く察知したアメリカの地質学者(キウェテル・イジョフォー)は、3年後の2012年に地球が終末を迎えると政府に警告。アメリカ大統領(ダニー・グローヴァー)は、各国の首脳の協力を取り付けて、あるプロジェクトを秘密裏にスタートさせた……。


ディザスター映画は数あれど、「インデペンデンス・デイ」(1996年)や「デイ・アフター・トゥモロー」(2004年)などで有名なローランド・エメリッヒ監督の最新作「2012」は、災害&パニックのレベルが文句なしに映画史上最高。地球を脅かすのは地球外生命体でも巨大隕石でも核戦争でもなく、地球の内部の「熱」である。その熱が行き場をなくして地表に噴出したとき、人類史上(というか映画史上)経験したことのない天変地異に見舞われる。


ディザスター映画に免疫のある人であっても、本作「2012」で届けられる映像の迫力には圧倒させられるであろう。海から空から大地から、あらゆる自然たちが牙をむく。局地的ではなく、地球が丸ごと壊れていくような、まったくもって“あり得ない”映像をお腹いっぱいになるまで体感させてくれる。この映像を見るだけでも、チケット代を払う価値は十分にあるだろう。


一方でこの映画は、地球の終末危機に際して、政治家から庶民まであらゆる立場の人々の視点から、人間という生き物の本質を掘り下げていく。自己保身に走るエゴむき出しの者。愛する家族に感謝の気持ちを伝える者。ただただ天に祈りを捧げる者。自分より他人の命を優先する者。この世の終わりを覚悟したときに何を思い、どう行動するか? そこに、ありのままの人間性が現れる。


なかでも時間を割いているのが、仕事人間だったある作家(ジョン・キューザック)のドラマだ。彼は離婚して別々に暮らす家族を連れてある場所を目指す道中で、災害から体を張って家族を守り、別れた妻や子供たちの信頼を取り戻していく。危機一髪どころか、危機100連発を運よくくぐり抜けていく様子は、よくも悪くもハリウッド一流のサービス精神。「荒唐無稽」とバッサリ斬る人もいるとは思うが、ここまでスリリングなジェットコースター気分を味わわせてくれるのだから、多少の強引さには目をつぶろうではないか。もはやこれはローランド・エメリッヒ監督の“芸”なのだから。


一部の政治家連中や裕福層が見せる利己主義的な思考もリアルなら、何はさておき家族を守ることを最優先する主人公もまたリアル。ドラマの最後に示される希望のメッセージは一見それらしく見えるが、どうも額面通りに受け取る気になれない。それは結局のところ、人類の99.9%以上が政府に情報を開示してもらえなかったという純然たる事実があるからだろう。あえて言うなら、それすらリアルだ。もしも本当に2012年に何かが起こるとしたら、私たちは何としてでもあと3年で主要な政治家か超が付くほどの裕福層になる必要がある。この風刺はなかなかのものだ。


なにはともあれ本作「2012」は、未曾有と呼ぶにふさわしい天変地異が味わえる驚愕のCG映像と、「愛」や「絆」、そして「エゴ」をテーマにした人間ドラマの両面から高い満足度が得られる超大作だ。恋人や友人や家族をお誘い合わせのうえ、ぜひとも劇場の大画面でお楽しみいただきたい。



お気に入り点数:80点/100点満点中

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