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「ホリデイ」

2007.4.20

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公開中の映画「ホリデイ」を観賞。


監督・製作・脚本:ナンシー・メイヤーズ 音楽:ハンス・ジマー 出演:キャメロン・ディアス、ケイト・ウィンスレット、ジュード・ロウ、ジャック・ブラックほか 上映時間:135分 配給:2006米/UIP


アメリカとイギリスに暮らす2人の女性(知らない者同士)が、クリスマス休暇のあいだだけお互いの家を交換する“ホーム・エクスチェンジ”に合意。出向いた地で、ふたりには運命的な恋や出逢が待ち受けていた……。


このあらすじと、男女ふたりずつのキャストを考えれば、ストーリーは先読みするまでもあるまい(笑)。


“人畜無害”のハートフルコメディ。


と言ったら少々皮肉っぽく聞こえるのかもしれないが、個人的には、言いえて妙。


恋愛は何も映画でなくても、かなりの劇的さと“運命的”と呼べる要素を含んでいる。そう見たときに、この映画に描かれている恋愛に、現実を超える何か特別なモノがあるとは思えない。


女性の主人公ふたりが事前に抱えていた恋愛にまつわる悩みにしても、そこに取り立てて大きな問題があるわけではない。きわめて個人的な悩みである。むしろ、そのありがちな凡庸さこそが、観客の感情移入を誘うファクターなのだとは思うが。


ただ、せっかく“ホーム・エクスチェンジ”というユニークな材料を用意したにもかかわらず、その材料をほとんど料理せずに終わってしまっているのは残念である。


アメリカとイギリスの文化的なギャップを感じることもなければ、豪邸と庶民的な一軒家を変えたことによるギャップもそれなりにしか描かれていない。これでは 10kmほど離れたの見知らぬ人と“ホーム・エクスチェンジ”したのと何も変わらないし、苦言風に言うならば、恋愛物語として、あつらえ向きな設定を選んだだけという印象をもたずにはいられない。


異国の地で迎える新生活に対するドキドキ感や、ワクワク感。冷蔵庫を開けるときでさえ何か衝撃的な驚きが隠されているような、また、もともとの住人が残した“何か”をベースに、ヒミツめいた物語が派生する……みたいなサプライズがあってもよかったように思う。


とくに、イギリスサイドの恋愛は、家を交換した余韻を楽しむ間もなく、初日夜からの急速な展開(笑)。


それをしちゃえば、もうそこはアナタの家ですよ! と突っ込みを入れたくもなる。


そんななかで唯一、設定が生かされていたのが、ある老脚本家を巡る心あたたまる物語であり、あのあたりのサイドストーリーをメインに持ってきてもよかったような気もする。


とはいえ、この映画が単なるかったるい作品かといえば、そうでもない。一流のキャストが揃っているうえに、ひとつひとつのシーンにおける、主人公たちのやり取りは、単に向こう見ずな恋情にまかせた勢いだけではなく、大人ならではの思慮やウィットも兼ね備えており、全般的に安心して楽しめる。おそらく演出センスのよさが功を奏しているのだろう。


また、老脚本家が語るハリウッド映画界にまつわる懐かし話や、ジャック・ブラックによるひとり名画劇場(サウンドトラック編)や、レンタルビデオ屋に出現するダスティン・ホフマンのカメオ出演などの遊び心も、ついつい頬がゆるむスパイスではある(往年の映画ファンであればあるほど!)。


心に深く残るものがあるとは言いがたいが、かといって150分という尺が特別に長いとも感じさせない手腕は、(もったいないとは思うが)それなりに評価すべきなのかもしれない。


ありきたりの恋愛を、激情やシリアスさを排除して、徹底して軽やかにつむいだ「ホリデイ」は、いっぱしの大人でありながらも、恋に夢や希望を抱くことができている男女4人を中心とした健康的な恋愛物語であり、ダレもが気楽に楽しめるという意味においても、そして、必要以上に心に突き刺さるものがないという意味においても、やはり“人畜無害”な作品だと思う。


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