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「ソウ3」

2006.11.28

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公開中の「ソウ3」を観賞。


製作総指揮:ジェームズ・ワン 、リー・ワネル 、ピーター・ブロック 監督:ダーレン・リン・バウズマン 脚本:リー・ワネル 出演:トビン・ベル 、ショウニー・スミス 、アンガス・マクファーデン、ダイナ・メイヤー、バハール・スーメキ、ショウニー・スミスほか 上映時間:108分 配給:2006年米/アスミック・エース


謎解きを含んだスリラーのシリーズ化で、2作目以降に面白いものが作れるはずはない——。それは一般論としては正しいのかもしれないが、こと「SAW」という傑作には適用されないようである。


たしかに、衝撃的な1作目と比較すると、群像的な見せ方をした2作目にはやや散漫さが見られた。が、今回の3作目は、脚本に1作目のリー・ワネルが復活したせいか、2作目を上回る出来栄えだったように思う。


極限の選択を迫る場面設定、猟奇犯の人生に対する深いメッセージ、痛々しい肉体的苦痛……etc.「SAW」に面白さはひとつやふたつではない。綿密に編み上げられたプロットは、常に観客の一歩も二歩も先を行き、ラスト10分でシアター内をア然のビッグウェーブでのみ込む。


今回は2つのゲームが同時進行するという異例の設定ながら、別々に見えたゲームは実はひとつであり、しかも、そのゲームがダレに対して行われていたかというと……!!!


という内容。


(シリーズ1、2の種明かしを含め)あらゆる場所にちりばめられた一見無関係そうなシークエンスが、ラスト10分にギュっと一カ所に集まるときのスピード感は「SAW」ならではの独創芸だろう。やや都合よくゲームが転がりすぎる感はあるものの、観客のみならず、登場人物をもあざむきながら、(ロジック的に)つじつま合わせではない着地を実現している点は評価すべきだろう。


ただ、1作目で感じた「なんだ、この映画は?」というミステリアスな雰囲気がすっかりと影を潜めてしまっているのは、続編として致し方のないウィークポイントであり、ジグソウという猟奇犯の存在や性格がはっきり描かれるようになったことと無関係ではないだろう。


おそらく、スリラーにはある程度の不確定要素——たとえば、猟奇犯の姿をベールで包む——を盛り込んでおくことは重要なのだと思う。不確定な要素があるということは、推測が許されるということだから。一方、シリーズを重ねるということは、その不確定要素を確定要素に変換していく作業を含むため、観る側としては推測する楽しみを奪われてしまう。


加えて、“生を大切にしていない”という従来通りの動機ではなく、“憎い相手を赦していない”ことをゲームの主題に置いたあたりにも合点が得られなかった。ではジグソウさんあなたは、自分に死を宣言した医師たちを、あるいは、身勝手なふるまいをするアマンダを、赦すことができたのですか? と聞きたくなる(※)。


殺人ギミックがより複雑になってきたことも、シリーズ2以降の大きな特徴だが(グロさ倍増)、この傾向も手放しには賛同しがたい。そもそも「SAW 」の面白さは、殺人描写ではなく、その極限状態のなかで生み出される人々の“恐怖”や“気づき”である。


そうした状況を作り出すのに、本来、殺人ギミックが複雑になる必要はない。ギミックが複雑になることは、“抜け道”を増やし、また“アラ”を露呈することにはなっても、ゲームをしかけられる者の“恐怖”や“気づき”を増幅させることにはならないはずだから。


つまり、殺人ギミックの面白さは観客に向けた視覚的なサービスでしかなく、そこを大がかりにすることは、ジグソウの狙い、すなわち「SAW」の本質からかけ離れていく気がするのだ。


“恐怖”や“気づき”を与えるには「鎖とノコギリ」で十分。そのことは1作目を観たダレもが知るところだろう。


と、フラストレーションがないわけではないが、それはシリーズ化によって生み出される、ある種の“宿命的なマイナス点”にすぎず、それらを差し引いても、「SAW3」は十分に見ごたえのある作品だと思う。


インテリジェンスな伏線に追いついていかない自分がいささか悔しくもあるが、何か見落としていないか、この解釈でベターなのだろうかと、すぐに再観賞して確認したくなる。そんな気持ちにさせるシリーズ第3弾などなかなかあるものではない。


「SAW」ファンとしては、ジグソウが亡くなった本作を最終章に幕を下ろすのが賢明だと思うのだが、どうやら、この人気作品は、ジグゾウの遺志を受け継ぐ者の手に委ねられて、まだまだ先へと進むようである。


あるいは、たいした期待もせずに見に行ったシリーズ4作目で、またまたど肝を抜かれ、再び「SAW」という傑作の前でひれ伏すことになるのかもしれないが。


もしも4作目で文中に挙げた(※)の部分が説明されていたら、直立不動で最敬礼するつもりである。


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