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No.16「ブラッドシンプル/ザ・スリラー」

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 銀幕をさまよう名言集!  No.16  2008.4.5発行 

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1999年/アメリカ 「ブラッドシンプル/ザ・スリラー」より


第80回アカデミー賞作品賞ほか
多数の映画賞を受賞した「ノーカントリー」。
そのメガホンをとったコーエン兄弟の処女作品が、
「ブラッド・シンプル」だ。
公開されたのは1984年だが、
1999年にオリジナルネガとサウンドトラックの全編を再編集し、
本作「ブラッドシンプル/ザ・スリラー」が誕生した。


男女の三角関係を軸に、ひとつの誤解が、新たな誤解を招き、
次第に、全員が悲劇へと引きずり込まれていくサスペンスドラマ。
伏線がビタビタとハマる脚本の魅力に加え、
「ノーカントリー」へと通ずる、
コーエン兄弟らしい映像美と演出力に彩られた1本だ。


ひとりの探偵が、依頼者から頼まれもしないのに、
依頼者の妻の生々しい不倫現場を写真に押さえる。
探偵いわく「調査のオマケ」だそうな。
その写真を見せられた依頼者は、
あからさまに嫌悪を示す。
そこまで頼んだ記憶はないぞ、とばかりに。


  依頼者:「古代ギリシャでは——

  
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      ——悪い知らせを伝えた使者は殺された」              


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   探偵:「馬鹿げた話だ」


  依頼者:「いや、当然の報いだ」


古代ギリシャで本当に「悪い知らせを伝えた死者は殺された」のかは知らない。


でも、この説、うなずけないこともない。


世の中には、悪い知らせを伝えなければいけないこともあると思うので、
悪い知らせを伝えたすべての使者が殺さたかといえば、
決してそうではなかっただろう。


では、どういうケースが、それにあたるかというと、
おそらく——その伝達が、「誰かを陥れるため」
に行われた場合ではないだろうか。


現代の社会に置き換えて言うなら、
悪意に満ちた風説やウワサ話、
悪意に満ちたネット上の書き込みなども、
その類に含まれるだろうか。


現代は情報化社会だから、
受け手が、情報を取捨選択する能力はたしかに必要だ。
最近では、情報を鵜呑みにすることのほうが愚か、という風潮すらある。
がしかし、それでも情報というのは、
人間の脳に一方的に刷り込まてしまうものではないだろうか。
よくも悪くも。
一度、耳にした情報を自分の判断基準の材料から外すことは、
よほど強い意思と信念がなければ、難しいことである。


ゆえに、だ。


情報を伝える者(使者)は、
伝達相手の脳に刷り込まれることを自覚したうえで、
その情報を伝える必要がある。
とくに、伝えることが「悪い知らせ」の場合は
それを伝えることが、
一体誰のためになるのかを考える必要がある。


そして、万が一、その「悪い知らせ」が、
「誰かを陥れるためのもの」
あるいは
「誰かを陥れる可能性があるもの」
と自覚したときは、
その情報は伝えるべきではないだろう。


誰かを陥れるという行為には、
常に低い波動がつきまとう。
低い波動が、よからぬ出来事を引き起こすのは、自然の摂理である。


       古代ギリシャでは——悪い知らせを伝えた使者は殺された  


たかが映画のセリフだが、
軽視できない重みがある。
もちろん、殺されることは稀だろうが、
自滅の第一歩となりかねない。


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●編集後記             
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コーエン兄弟の処女作である「ブラッド・シンプル」(84年)が、
なにゆえのちに(99年)再編集されたのか、
その理由はいくつかあるようですが、
ひとつ言えることは、
再編集してでも、後世に送り出す価値がある作品だということです。
光と影を駆使した独創的な映像、背筋も凍るスリル、
ブラックユーモア、絶妙な伏線、人間の狡猾さと滑稽さ、
濃厚な心理戦、手に汗握る逃亡&追跡劇……等々、
どこをとっても見るべき点があります。
「ノーカントリー」の鑑賞前に見ておくのもオススメです。


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■銀幕をさまよう名言集! No.16「ブラッドシンプル/ザ・スリラー」

 
マガジンID:0000255028
発行者  :山口拓朗


●公式サイト「フリーライター・山口拓朗の音吐朗々NOTE」
http://yamaguchi-takuro.com/


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