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No.17「月の輝く夜に」

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 銀幕をさまよう名言集!  No.17  2008.4.15発行 

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1987年/アメリカ 「月の輝く夜に」より


ひとりの未亡人と、彼女に求婚するとある兄弟。
彼らの三角関係を中心に、
何組かの男女の愛を描いたラブコメディ。
妙にオカシなシーンがあったりするわりに、
哲学的なセリフも多い不思議ワールドな作品である。


自分の兄(ジョニー)との結婚が決まっている未亡人ロレッタに、
弟のロニーが愛の告白をする。
だが、ロレッタはジョニーとの結婚を決意しており、
態度を変えようとはしない。
それでもロニーは、執拗なアタックを続ける——


     「愛の正体に気づいたんだ。 
      愛で人生が輝くなんてウソだ。
      すべてを破壊し、傷つける。


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      完璧な人生がそんなに大切か?               


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      雪は完璧だ……。
      星も完璧だ……。
      だけどオレたちは違う。
      自分たちで破滅に向かい、心を引き裂いている。
      いけない人を愛し、そして死んで行くんだ。
      おとぎ話とは大違いさ」


ロニーにとっては、ロレッタをものにする最後のチャンスだ。
ここで彼女が自分の胸に飛び込んでこなければ、
彼女はジョニーの妻になってしまう。
そうした絶対絶命の状態のなかで、
ロニーが最後に放った言葉が——


      完璧な人生がそんなに大切か? 


である。


そう、ロニーは気づいているだ。
ロレッタの気持ちが自分にあることを。
彼女は怯えているだけなのだ。
フィアンセとの婚約を反故にすることを。
あるいは、心配でたまらないのだ。
自分が何か危険なところに行こうとしているのではないか、と。
再び人生に失敗してしまうのではないだろうか、と。
それは以前に夫を亡くしているロレッタとしては、
当然の怯えであり、不安である。


そうした相手に、いくら自分の愛を伝えてもダメなのだ。
たとえば——


      ロレッタ、君はボクの宝物だ。


などと言っては。


肝心なのは、彼女の怯えをどう取り除くかである。
つまり、彼女に、その足を一歩踏み出す勇気を与えることだ。


      完璧な人生がそんなに大切か? 


言葉としては、かなり乱暴ではあるが、
勇気を見失っている者にとっては、
心にガツンと響く一発である。
一か八かの荒治療とでも言おうか。


幸いにも、この荒治療は功を奏し、
ロレッタは、ロニーを選ぶ決意をする。
勇気をもって、怯えや不安を捨てたのである。


愛の告白をするときには、
自分の気持ちを素直に伝えることや、
相手の気持ちを素直に受け止めることも大事だが、
相手の本心を見抜くということも、
同じように大事なことなのかもしれない。


      完璧な人生がそんなに大切か?


それはロニーが、
ロレッタの本心を見抜いていたがゆえに出た言葉であった。
ロレッタにとっては、夫を亡くして以来、
初めて自分の心の核と向き合うことをいとわない人間と
出会った瞬間ではなかっただろうか。


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●編集後記             
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「月の輝く夜に」は、ヘンテコだけど洒落てる物語です。
ちょっぴり異形な登場人物になぜか親しみを感じてしまいます。
老人たちの愛にもフォーカスしていますが、
結局、人間は年を取っても、
愛という手のひらの上で、転がされ続けるのだなあ、
と苦笑をこぼさずにはいられません。
前半、若かりしニコラス・ケイジが、
自暴自棄な役をワイルドに演じています。
シェール(アカデミー賞主演女優賞)や
オリンピア・デュカキス(同助演女優賞)の好演も光る1本です。


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■銀幕をさまよう名言集! No. 17「月の輝く夜に」

 
マガジンID:0000255028
発行者  :山口拓朗


●公式サイト「フリーライター・山口拓朗の音吐朗々NOTE」
http://yamaguchi-takuro.com/


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