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No.23「アリスの恋」

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 銀幕をさまよう名言集!  No.23  2008.5.26発行 

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1975年/アメリカ 「アリスの恋」より


夫が事故死し、突然未亡人になったアリス。
アリスは息子のトムと一緒に故郷に戻って
歌手として出直そうと決意する。


ただし、葬式で全財産を使い切ってしまい、
故郷に帰る旅費がないため、
当分は故郷に戻る道中のモーテルを泊まり継ぎ、
お金を稼ぐよりほかなかった。


ところがアリスは、道中の町々で散々な目に遭う。
ある町では、家庭持ちの暴力男にだまされ、
別のある町では、本気で惚れた男と大げんか。
12歳の息子トムも何かとアリスに反抗的だ。
おまけに自分は、歌手として出直すつもりなのに、
ウエイトレスとしてこき使われ……。


不満が臨界点に達したある日、
アリスは職場のトイレで号泣する。
心配した同僚がアリスをなぐさめる。


 アリス:「私は自分に正直になりたいの」


  同僚:「じゃあどうしたいの?」


アリスは答える——


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 アリス:「それが分かってれば、トイレで泣いてないわよ……」       
           

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人間には何をやってもうまくいかないときがある。
アリスがそうだ。
男とはうまくいかず、
息子は反抗的。
仕事はしたくもないウエイトレス。
派手なピンクのユニホームを着せられて……。


でも、何をやってもうまくいかない原因は、
意外と自分にあったりする。
アリスで言うならば、
“素直さ”と“頑張り”を混同していることが、
その元凶かもしれない。


実は、彼女の亡き夫は、横暴な男であった。
アリスやトムに対する愛情は微塵もなかった。
アリスは13年にもおよぶ結婚生活のなかで、
いつも空虚な気持ちを抱え続けてきたのだ。


そんな彼女の心が本当に求めていたものは、
故郷に戻ることでも、
歌を歌うことでも、
トムの母として頑張ることでもなく——
——我慢してることのすべて(不安や悩みや寂しさ……)を
吐き出すことではなかっただろうか?


我慢をため込んだまま頑張り続けるから、
物事がうまくいかないのだ。


“故郷に戻って、歌で生計を立てながらトムを育てる!”
それは、殊勝な心がけかもしれないが、
自分にムチを打ちすぎている。


    「それが分かってれば、トイレで泣いてないわよ……」


いみじくもアリスはそう言ったが、
実はこの言葉こそが彼女には必要だったのだ。
素直になりたいのに、どうすればいいか分からない……。
その混乱した気持ちを告白すること自体が、
有益な毒抜きなのだから。


何もかもがうまくいかないときは、
ひとりで悩みを抱えずに、
ダレか親しい人をつかまえて、
自分の弱さをさらけ出す勇気が、ときには必要かもしれない。
人間は何もかもを背負いきれるほど強くはない。
切羽つまったときは、SOS信号を発すればいい。


すると、気持ちがラクになり、
自分の考えがすっきりと整理される。
ダレかが助けてくれることもあるだろう。
それをきっかけに、視界が開けて、
状況が好転することも珍しくはない。


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●編集後記             
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「アリスの恋」の主人公アリスは、
若かりしマーティン・スコセッシがメガホンをとった作品です。
人間味あふれる未亡人アリスの波瀾万丈の日々を、
コミカルな演出を交えて描き上げています。
リアルで気の利いた(ときに下品な)会話劇が魅力ですが、
なかでもアリスと息子トムのやりとり(攻防戦?)に、
なんとも言えない味わいとおかしさがあります。
アリスを演じたエレン・バースティンは、
この作品でアカデミー賞主演女優賞を受賞しています。


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■銀幕をさまよう名言集! No.23「アリスの恋」


マガジンID:0000255028
発行者  :山口拓朗


●公式サイト「フリーライター・山口拓朗の音吐朗々NOTE」
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