フリーライター・山口拓朗の音吐朗々NOTE

フリーライター・山口拓朗の音吐朗々NOTE > 映画レビュー > ■メルマガ・バックナンバー > No.5「ヒー・セッド、シー・セッド」

No.5「ヒー・セッド、シー・セッド」

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
  
 銀幕をさまよう名言集!  No.5  2008. 1. 24発行 

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


1991年/アメリカ 
「ヒー・セッド、シー・セッド 彼の言い分、彼女の言い分 」より


同一番組のキャスターで私生活では恋人同士の男女。
生放送中に口論となり、女は本番中に飛び出して行ってしまう。
男と女はそれぞれに、ふたりの過去を回想する……。


見ごたえのあるロマンティックコメディだ。
言葉のやりとりがおもしろいうえに、
映画的にもよくできている。
にもかかわらず、劇場公開されなかったという摩訶不思議な1本だ。


特筆すべきは、
男の言い分(ヒー・セッド)を男性監督が撮り、
女の言い分(シー・セッド)を女性監督が撮るという
画期的な手法がとられている点と、
なおかつ、その手法がピタっとハマっている点だ。


前半の1時間は男視点、後半の1時間は女視点。
同一シーンのくり返しにもかかわらず、
会話を含めた内容が微妙に(ときに大胆に)異なるのだ。
つまり、その差異で、男女の言い分の違いを表現しているのである。


男は女のことをこう思っている。
“結婚という型に固執し、ムリばかり押し付けてくるヤツ”。
女は男のことをこう思っている。
“結婚する勇気もない優柔不断なプレイボーイ気取り” 。


ふたりの共通点といえば、
お互いに、不仲の原因が相手にある、と考えている点くらいなものだ。


さて、女の言い分を表現したシーンのなかで、
女が男にこんなことを言う。


     「ねえ、愛してるわ」


     (ドキっとする男)


     「違うの、同じ言葉が欲しくて…… 言ったんじゃないのよ」


     (男は黙りこくったまま)


     「ただ正直に感情を表現したいだけ……」

☆★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                                
      表現しなければ——感情は無意味よ   

     (男はそれでも黙りこくったまま)               

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★☆


この言葉は、実に興味深い。
この断定的な言葉を言い換えれば、
「感情は言葉にしなければ、感情とは言えません」となる。
同意する人、同意しない人さまざまだろう。


だが思うに、同意する人の多くは女性で、
同意しない人の多くは男性ではないだろうか?


つまり、女の言ったこの言葉は、
かなり普遍的なレベルで、
男女の食い違いを言い表しているのである。


女性はよくこんなことを言う。
「言ってくれなきゃ分からないわ!」
男性はよくこんなことを言う。
「言わなくても分かるだろ!」
違うだろうか?


それは、どちらが“いい悪い” “正しい正しくない”ではなく、
単純に、女性は感情に従順な生き物であり、
男性は感情をコントロールする生き物であるという、
そういうことではないだろうか(あくまでも私見だが)。


おそらく、先ほどの


      表現しなければ——感情は無意味よ  


という言葉を受けたシーンで、男が思ったことは、こうだ。
「表現しなくても、感情は感情さ」
それは、この男の個人的意見というよりは、
普遍的なレベルで言うところの、男性の意見という気がする。


何を言わんや——


男女間の食い違いのひとつには、
男が女の根本的な性質を知らなすぎて、
あるいは、女が男の根本的な性質を知らなすぎて、
起きるものが、少なくないのではないか、ということだ。


逆を言えば、男女がお互いの根本的な性質を知ることで、
解消されるトラブルも、少なくないということだ。


もしも「言ってくれなきゃ分からないわ!」と彼女が言うなら、
彼氏は、彼女のために言ってあげる努力をしたらいい。
もしも「言わなくても分かるだろ!」と彼氏が言うなら、
彼女は、彼の気持ちを察する努力をしてあげたらいい。


なぜならそれは、個人的な性質に基づく食い違いではなく、
男女の根本的な性質に基づく食い違いなのだから。
どだい相いれないものであることさえ理解していれば、
不毛なケンカをする必要もなくなる。


もちろん、そんな理屈だけで、
すべての男女のトラブルが収束するわけではないが……(涙)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●編集後記             
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「ヒー・セッド、シー・セッド 彼の言い分、彼女の言い分 」は、
ひとつの事実でも、立場によってこれほど見方が違うものか、と、
ハっとされられる映画です。
男に共感する人、女に共感する人、どちらもいるでしょう。
ケビン・ベーコン、エリザベス・パーキンスの好演に加え、
シャロン・ストーンの脇役も光っています。
なにゆえ劇場公開されなかったのか、まったく不思議です。


************************************


■銀幕をさまよう名言集! No. 5「ヒー・セッド、シー・セッド」
 
マガジンID:0000255028
発行者  :山口拓朗

●公式サイト「フリーライター・山口拓朗の音吐朗々NOTE」
http://yamaguchi-takuro.com/


************************************

トラックバック

トラックバックURL:
http://yamaguchi-takuro.com/mt/mt-tb.cgi/238

コメントはお気軽に★




ログイン情報を記憶しますか?


映画レビュー
■映画レビュー(鑑賞順)
■映画レビュー・インデックス
■オススメ作品(80点以上)
■メルマガ・バックナンバー
日常雑記
■日記
■旅
■言葉
■写真
■良書
■舞台
■音楽
■アート
■スポーツ
■涙と笑いの物語
■マラソンNOTE
転がるコラム&エッセイ
■2005〜2008年
■2002〜2004年
執筆活動
■執筆アーカイブ
■山口拓朗プロフィール
リンク
ともり~んのeveryday
乱丸の徒然キャンプ日記
'08 JAILBREAK
サノヒロアキホームページ
映画リンク
前田有一の超映画批評
シネマメモ-映画リンク集
映画通信シネマッシモ
Cinema Preview
我想一個人映画美的女人blog
映画ジャッジ!
サイト情報
お問合わせ&仕事のご依頼
相互リンクについて
管理者ページ
お知らせ
yahoojp.gif  当サイトはYahoo!カテゴリの
  「映画評論、レビュー」に
  登録されています


RSS FEEDRSS FEED  記事一覧記事一覧  TOPPAGEサイトの最初のページへ  TOPページの先頭へ 
Copyright(C)2002-2008フリーライター・山口拓朗の音吐朗々NOTE Allrights reserved.