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No.6「ゲド戦記」

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 銀幕をさまよう名言集!  No.6  2008. 1. 29発行 

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2006年/日本 「ゲド戦記」より


スタジオジブリ発、
宮崎駿監督の長男である宮崎吾朗氏の第1回監督作品である。


この作品には、命を粗末にするアレンという少年と、
“不老不死”を手に入れようとするクモという魔女が登場する。
対照的なふたりだ。


アレンには、今でいう“統合失調症”のキライがある。
一方のクモは、まるで強欲な暴君、あるいは究極の利己主義者のようだ。


そんなふたりとは別に、
テルーという名の“均衡”を象徴する少女が登場する。


物語の終盤で、アレンが言う。

     
     「人はいつか死んでしまうのに、
      命を大切にできるのかな……」


テルーはカッとなって、アレンを叱咤する。


     「ちがう、死ぬことが分かっているから、命は大切なんだ。
      アレンが怖がっているのは、死ぬことじゃないわ。
      生きることを怖がっているのよ!」


テルーはなおも言葉を続ける——


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      死んでもいいとか、永遠に死にたくないとか
      そんなのどっちでも同じだわ。
      ひとつしかない命を生きるのが怖いだけよ!                  

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★☆


ドキっとさせられたのは、


      そんなのどっちでも同じだわ。


とテルーが言ったことである。


「死んでもいいとか」は、アレンを指している。
「永遠に死にたくないとか」は、クモを指している。
彼らは対照的なふたりである。
ところがテルーは、そんなふたりを「同じ」だという。


そう。
「生」を軽んずる少年アレンと、
「生」をむさぼる魔女クモ。
両者のベクトルは180度逆を向いているようで、
実は同じ方向を向いている。
そのことをテルーはものの見事に指摘したのである。


テルーの言葉には、
「生」というのは、簡単にスイッチを切っていいものでも、
かといって、単に心臓が動いていればいいというものでもないはずだ、という
メッセージが込められている。


「生」に対する価値観は、もちろん人それぞれだろうし、
他人が強制できるようなものではない(していいものでもない)。
だが、この映画を見て、もし少しでも、
自分はアレンに似ているかも……
あるいは、
自分はクモに似ているかも……
と感じたならば、
テルーの言葉に素直に耳を傾けてみるのも悪くはないだろう。


なぜなら、この作品におけるアレンとクモ、
彼らふたりの表情は、生気を失っているから。
少なくとも、そこに「生」の真実を見つけることはできない。


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●編集後記             
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「ゲド戦記」という作品には、批判の声も少なくありません。
ジブリに対して。宮崎吾朗監督に対して。
物語やキャラクターの練り方に対して。セリフに対して……等々。
ただ、ここに描かれている世界は、
ことごとく現代社会に置き換えてとらえることができ、
身につまされるものがあります。
その示唆が、あまりにストレートすぎて、
多くの人に“えらそうな講釈”と受け取られたのかもしれませんが。
表現というのは、実に難しいものだと思います。


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■銀幕をさまよう名言集! No. 6「ゲド戦記」
 
マガジンID:0000255028
発行者  :山口拓朗

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