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「夢から醒めた夢」

2008.9.7

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劇団四季のミュージカル「夢から醒めた夢」を観劇。


原作:赤川次郎 台本:浅利慶太、奈良和江 演出:浅利慶太 作曲:三木たかし、宮川彬良 作詞:奈良和江、浅利慶太 振付:加藤敬二、謝珠栄


夢の配達人に誘われて夜の遊園地へやって来たピコは、そこで、交通事故死した少女の幽霊マコと出会う。悲しみに暮れる母を励ますために1日だけ自分と入れ替わってほしい、というマコの願いを聞き入れたピコは、マコから霊界行きのチケット(白いパスポート)を預かり、幽霊たちが集まる「霊界空港」へと向かうが……。


1987年の初演以来、1000回以上の上演を重ねている「夢から醒めた夢」は、子供から大人まで楽しめるミュージカルだ。


主人公ピコの大冒険の柱は、幽霊のマコと1日だけ入れ替わるというもの。子供たちにとっては、興味シンシンな展開だろう。


霊界空港でくり広げられる人間(霊?)模様が見どころだ。生前に善良な行いをしてきた幽霊には白いパスポート、悪事を働いてきた幽霊には黒いパスポートが渡される。分かりやすく言えば、天国行きと地獄行きだ。とりわけ、飢餓や戦争で命を落とした子供たちのパスポートが一様に白いのが印象的だ。


そう、霊界のパスポートの色は、この世での“住い”や“地位”や“裕福さ”とはまったく無関係。あえて言うならば、基準は“心の美しさ”にあるようだ。


おもしろいのは、善人とも悪人ともつかない幽霊にグレーのパスポートが渡される点だ。グレーのパスポートは、のちに、その色が白に変化することもあれば黒に変化することもある。幽霊になってからも成長&変化の余地を残すあたり、神様とやらも心憎い。


霊界空港でピコには思わぬ展開が待ち受けているが、ピコはその苦境を、周囲の幽霊たちに助けられながら乗り越える。なぜ、周囲の人たちがピコに手を差し伸べるのか、その答えはピコの人柄に隠されている。優しさや素直さが引き寄せる幸運の魔力。おそらくは子供たちも、そうした宇宙に存在する“因果応報”の法則を無意識のうちに感じ取ることだろう。


劇中で2度歌われる楽曲「二人の世界」は、心のふれ合いと夢に対する希望がつまった名曲だ。夢も互いに共有すれば、喜びは倍になる。そんなメッセージが心地よい。


唯一、苦言を呈したいのは、キャストである。この日は主演を含め、サブの方が多く出演していたが、その歌唱力は明らかに力量不足。これは本演目だけに言えることではないが、劇団四季は若手の人材が手薄だ。メインとサブの実力差があまりに激しすぎるのは、ゆゆしき問題だろう。


その件を脇におけば、ユーモアとシリアスを織り交ぜつつこの世とあの世を結んだ「夢から醒めた夢」は、良質のファンタージーだ。人生なんて一瞬の夢のようなものだから、せめて人生を輝かせたいと願う。「夢から醒めた夢」は、そんな気持ちを代弁してくれる。子供たちにもオススメである。

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