球団の身売りが見透かすプロ野球の膿
2004.11.22
西武の身売りは回避されたが、結局、ダイエーは身売りされる運びとなった。西武もダイエーもパ・リーグでは人気球団、しかも実力も上位の双璧。にもかかわらず、経営は成り立っていないのである。赤字は赤字でも、グループ全体を見渡したときに、プロ球団を保有することのステータス、および、そこから生まれる相応の派生効果を得ているのかと思いきや、実状はそうではないことがハッキリとした。
ストライキのころ、作家の村上龍氏が次のようなことを書いていた。
「今回の、近鉄とオリックスの合併問題と選手会のストに関して、マスメディアに欠けている視点があるような気がします。マスメディアは、経営側と選手側の『どちらに理があるのか』あるいは『どちらが野球を愛しているのか』というような論議をしますが、この問題の核心は、『経営コストに耐えられなくなった球団がある』ということではないでしょうか。要は、お金がないということです」
西武やダイエーに「お金がない」ということは、現在のプロ野球がよほど「お金になりにくい」ということなのだろうか?
プロ野球というマーケットに懐疑的な風が吹くなか、楽天やライブドア、ソフトバンクといった企業が参入に意欲を示したことは救いであった。これらの企業は、やり方次第では、まだまだプロ野球がビジネスになる——「お金になりにくい」のは「お金にしようという気がないからだ」——ということを示してくれているのである。「お金がないのであれば、お金を作り出せばいい」というシンプルな思考は、まさしく、既製の球団からすっぽりと抜け落ちていた部分である。
ただし、プロスポーツの推進力はファンにある。そこだけは見誤ってはいけないだろう。
昨日、浦和レッズが後期のステージ優勝を果たした。
規模の大小は無視するとして、浦和レッズファンのクラブに対する思い入れは、球界一熱狂的といわれる阪神ファンさえも凌いでいると思う。それはクラブとファンの距離関係が作り上げたものにほかならず、ある意味、その限りなく「近い」関係を作り上げたことこそが、浦和レッズの勝利のように思う。Jリーグでは、サポーターとクラブ経営陣が話し合いをもつことも珍しくはないし、サポーターが選手を前に直接檄を飛ばすこともある。現在のプロ野球球団に、そこまでの、厳しくも厚い信頼関係を築き上げている球団があるだろうか?
もちろん、お世辞にもJリーグのクラブ資金は潤沢ではないだろうが、それでも発足から10年弱でゼロから築き上げてきた、ゆるやかながらも着実な歩みは評価に値する。いつ淘汰されるか分からないし烈な競争のなかで生き延びていく「術」と「意欲」を、今こそ、プロ野球界は学ぶべきであろう。
Jリーグだけではない。バレーボールのVリーグや、05年11月に開幕となるバスケットのbjリーグなど、プロ野球の数分の一、あるいは数十分、数百分の一のファンを相手にリーグを維持していこうという、その姿勢とノウハウにこそ、護送船団方式に守られてきたプロ野球界が無視し続けてきた「何か」があるハズである。
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