おててつないで仲良くゴールを黙認!?
2005.5.22
夜中に見たセリエA「レッツェ対レッジーナ」のホーム最終節は、かなり衝撃的であった。日本の実況や解説も「こ、こんなことってあるんですね……」と唖然としてたもの。
実はこの試合は、勝てば両チームともセリエA残留決定という大切な試合。前半はお互いに果敢な攻防をくり広げ、2対2の同点だったのだが、後半に入ってビックリ!
両チームとも戦いをやめてしまったのである! ボールともつと自陣で軽くパス回す、まるで「キャプテン翼」に出てくる「トリカゴ」状態。しかも、笑えるのが、相手がまったくボールを取り行こうとしない。レッツェが数分間ボールを回したら、軽く攻撃を仕かけて相手に取られる(渡す?)。すると今度はレッジーナがバックパス連発でボールを回し、飽きたら攻撃し、レッツェにボールを取られる(渡す?)のくり返しを延々45分。キーパーなんて一度もボールさわらないんだから。
これは同時刻に行われていた他チームの試合結果によっては、両チームとも同点でも残留できる可能性があったために起きた、摩訶不思議な出来事であった。両チームがハーフタイム中に密約を結んだのか否かは定かではないが、両チームとも「同点のまま試合終了=あわよくば2チームそろってセリエA残留」の道を選んだのである。
運動会でいうところの「おててつないで仲良くゴール」の類である。
さて私はサポーターの反応に注目していたのだが、はじめは選手の意図を理解しかねて(というか、おそらく意味がわからず)、ブーイングが飛び交っていたが、そのうち合点がいったのか、ブーイングは黙認へとシフト。逆に残留ムードが高まり、お祭り気分にさえなってきたのである。
両チームとも年間の目標が「セリエA残留」だけに、変に真っ向勝負を挑んで悪い結果を招くよりは、より確率の高い道を選んだのである。もちろん、ふつうに考えれば、この予定調和な出来レースは、スポーツマンシップに反する行為以外の何モノでもないが、イタリアサッカー界のモロモロの事情を考慮すると仕方のないことのようである。
とにかくイタリアにおけるセリエAとセリアBの違いは相当なものらしい。放映権が激減→スポンサー激減→チーム収入激減→選手の給料激減……という悪循環が待ち受けている。また、サポーターにとっても自分が応援しているチームがセリエAかセリエBかで、周りの目がまったく違うらしいのだ。ダレもが「へえ、あなたの応援チームはセリエBですかー、ふふふっ」みたいな憂き目にあいたくないと思っている。つまり、利害関係が一致していたのは、レッツェやレッジーナだけではなく、両チームのサポーターも然りだったのである。
よくプロ野球の終盤戦で、リーディングヒッターを狙う打率1位の選手が、試合に出ずにそのまま率をキープする(ほかの選手に率を抜かれない限り)ケースがあるが、今回の理由もそれと同じなのだろう。つまりプロにとって優先すべきは「正々堂々」ではなく「結果」なのである。
ファンとしては「正々堂々勝負しろ!」という気持ちがないわけでもないのだろうが、そのへんはずいぶん冷静というかドライというか……。多少汚ないと言われようが、アンフェア(今回のはかなりギリギリ)とののしられようが、レッツェとレッジーナは、目標を達成(セリエA残留)するために最も効率的な戦い方をしたというワケだ。
おそらく日本で同じような試合が行われた場合、相当強いバッシングが待ち受けているだろう。高校時代の松井が甲子園で連続5敬遠を受けたときに、星稜の相手チームをあれだけバッシングした国であり、「教育的指導」などというルールがある柔道なんていうスポーツを作った国だから。
その美学も嫌いじゃないのだが。
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