春日部大凧マラソン/ハーフ・完走までの道 その5
2007.5.4
いよいよ今日(5月4日)は初ハーフマラソンの当日だ。快晴。テレビの天気予報が「今日の巻頭は夏日で…」と言っている。予想最高気温は26℃。スタートの約1時間前に会場に到着。すごいランナーの数。東京マラソンの影響か、参加者は、昨年より約1000人多い5634人とのこと。会場の放送で「現在の気温は20℃…」と報告がある。ハーフを走るのも初めてなら、この気温も初めて。何もかもが未曾有の世界だ。受付に行き、手渡されたゼッケンと計測用RCチップ(個人の正確なタイムが計測できるセンサー型のタイム計測器)を取り付けてから慌ただしく準備。30分前にトイレに並んでいると、前の人が「去年は最後のほうに給水所の水がなくなっていた…」と話している。こいつはヤバイ、と思い、露店でペットボトルが入るタイプのポシェットを購入し、命の水を装填。これにて水不足への対処は完了。人の話は小耳に挟んでおくものだ(笑)。ほどなくスタート地点への招集がかかる。ほかのランナーはガンガンに慣らし走りをしているのに、まともな準備体操もできないまま、スタート地点へ。実に初心者っぽいなあ、ワタシ。
若い方からお年寄りまであらゆる世代のランナーが大集合。この場所に自分が立っていることがちょっぴり不思議だ。150mほど前方には大きなスタートゲートがある。これがレースのスタートかあ、と感慨にふけるも、意外にも緊張や不安はなく、無事に本番を迎えられた喜びのほうが大きい。天気のせいもあるだろう。初夏らしい気候が気持ちいい(暑さは怖いけど)。必要以上にドキドキすることもなく、スタートを告げる号砲が響く。
ゲートを越すまでは渋滞していたが、そこから先はほぼノンストレス。周囲の速い走りにつられないようにだけ気をつけていたが、気をつけるもなにも、周囲の速度には付いていけず、どんどん抜かされていく。でも、ここでつられてはアカンのや、と自分のペースを守る。ところが、1kmの通過タイムが5分台。「えっ?」と思う。6~7分を予定したにもかかわらず…。やはり周りにつられている? でも、ランナーに次々と抜かれていくせいで、体感的には自分のペースを守れているように感じる。まあ錯覚もいい方向にとらえていこうと、必要以上にペースを落とさずに走り続ける。近くを走っていた若いランナーふたりが、「最初は少しペースを上げてカラダを慣らさなくちゃな…」と話をしている。なるほど、そういうものかー。人の話は小耳に挟んでおくものだ(笑)。とはいえ、前半のオーバーペースは命取りになると肝に銘じていたので、脈(心臓のドキドキ)の上がりすぎに気をつけて、深い呼吸を心がける。タイムや距離を気にせずに、ほかのランナーの背中や沿道の応援、静かな家並みや緑を楽しみながら走る。そして5kmを通過。25分台。練習でもほとんど出したことのないタイム。それが、単なるオーバーペースなのか、本番特有の火事場のクソ力なのかはよくわからないが、いい気持ちで走れているので錯覚を信じることに。
7kmくらいになると、実力違いのランナーにはほぼ抜かれたらしく、後方からの大きなプレッシャーはなくなる。交通規制はされているが、道は全般的にやや狭め。ただ、この密集感が、妙にほかのランナーとのつながりを感じさせてくれて、初心者のワタシにはありがたい。ライバルという意識はまったくなく、運命共同体のような感じ。逆を言えば、この運命共同体の存在がなければ、とても20km以上を走ろうなどという気にはならないだろう。そう考えると、ランナーへの感謝の気持ちすらわいてくる。8kmほどで江戸川に到達。ここからは7~8km土手の上を走ることになる。右手に川、左手に牧歌的な田園風景。気温はどんどん上昇しているが、美しい景色に癒される。10km通過タイムは55分台。練習で走った最大距離がこの10kmまでなので、あとは未知なる世界へと突入だ。でも思った以上に足腰にはまだきてないゾ、と自覚。
タイム的な錯覚はあるのだが、自分としてはイーブンペースを守り続けてきた満足感があり、また、一瞬、考えたこともなかった1時間台のタイムが頭にちらつき、頑張ろう!という気になる。しかも、このあたりからペースが落ちるランナーが多くなってきたため、抜かれる回数よりも、抜く回数のほうが多くなってきた。暑さのせいか歩き出す人もちらほら。さすがに苦しくなってくるが、苦しいなかでも、まだ足腰にきていない。リズムだけを崩さずにひた走る。体に急激な異変が起こらない限り、間違いなく完走はできるだろうと確信したのもこの頃。そして15km通過タイムは——1時間23分台。あとから考えると、この「10→15km」の走りが一番大きかった気がする。ラップ的には「5km→10km」より2分近く速い。半分を走りきったことで調子づいたことに加え、土手というのも功を奏していたのかもしれない。土手は狭いため、ランナーの真横を抜いていくことになる。抜くときはどうしても少しスピードが増すし(相手のランナーの邪魔にならないよう抜くため)、別に他のランナーと勝負をしているわけではないが、“抜く”という行為自体は、脳的には一種の快楽なのだろう。走りへのモチベーションが自然と高まる。いいリズムに乗ることができた。この区間を軽快に気持ちよく走れたことは、自分でもすごく自信になった。
がツケというものは必ずくるもので、長い長い土手がようやく終わった15km付近からゴールまでが本当に長かった。脳内に快楽物質が出まくっていた「10km→15km」と異なり、しだいに自分の足をコントロールできなくなってくる。暑さで体中がサウナ化してくる。熱中症に注意しなくてはと小まめにマイ・ポシェットから水を取り出しは飲む。足が止まって歩き出すランナーもかなり多くなり、ここで歩いたらどんなにラクになるだろうか、と悪魔のささやき声が聞こえてくる。でも邪念は一瞬で取り去って、とにかく足を前に進める。1kmがこんなにも長いものか、と感じながら。2時間の壁については、15kmを過ぎた時点である程度把握はできていた。残り6km強で、これまでの走りができればなんとかクリアできるだろうし、足が少しでも止まればムリ。タイムを目標にしていたわけではないが、手の届かないところにあるならまだしも、千載一遇のチャンスがそこにあるワケだから、なんとか手にしたいという気にもなる。
残り3kmはもう意地だ。チキショー、チョー苦しい! と思いながらも、必死に足を前に出す。ほかのランナーも同じ気持ちかと思うと、苦しさのなかにも感動を覚える。結局、ラスト6kmは自分のペースがどれくらい落ちたのか、あるいは、イーブンで守れているのかもよく把握できないまま、とにかく、走る。沿道から「ラスト1km!」の声がかかる。ラスト1kmもあるのかよー、と思いながら、文字通り「歯を食いしばる」。そしてゴール数百メートル手前で妻や娘、義姉、甥っ子たちの姿を沿道に見つけて手を振る。ラスト100mが猛烈に遠い。ただゴール地点のデジタル表示板が、1時間台をまだ示していた。やったー、フィニッシュ! 1時間56分31秒。走り続けた充足感で満たされる。ゴールしてから10分くらいは、身体的なツラさと達成感を感じながら、ぶっ倒れる。——見上げた空は深く、青かった。
ほかにも、素晴らしい経験のなかで得たもの、反省点などモロモロ書き記しておきたいことが山ほどあるけど、それはまた後日にでも。応援に来てくれた義母、妻子。義姉、甥っ子たちに感謝します。そして、春日部大凧マラソンを走ったすべてのランナーの皆さん、お疲れさまでした。世界中のすべてのランナーをリスペクトします!
【本日のレース記録・ハーフマラソン(21.0975km)】
■記録:1時間56分31秒
5km通過タイム:25分20秒
10km通過タイム:55分25秒
15km通過タイム:1時間23分15秒


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