信号機は過保護な親のごとし!?
2004.12.20
「ゴルゴ13」でおなじみの漫画家・さいとうたかを氏が、深夜テレビで「信号が赤になったら止まる、青になったら歩く、ということをあたり前のようにやっている現代人は危うい」というような主旨の話をしていた。
「青=安全」と信じて渡るのはいいけど、万が一、赤信号に気付かずにクルマが走ってきたらどうするのか、それよりも自分自身の判断を大事にすべきではないか、という意味である。
実は昔、私も似たような話を人にしていた時期がある。人の好き嫌いに関する質問の答えにしていたのだが、「おかまいなしに赤信号を無視して歩く人は嫌いだけど、左右のどちらからもクルマが来ていないことが分かっていながら、その信号を渡ろうとしない人にも魅力を感じない」と。
人間にとってモラルやルールや理性はとても大切である。だが、そのことに言われるがまま100%依存しているような人に対する魅力は薄い。換言すれば、モラルやルールや理性を遵守しながらも、場合によっては——たとえモラルやルールーや理性に反することになったとしても——臨機応変に自分自身が正しいと思う判断を下せる人が好きだ、と言いたかった。
どの程度のタイミングであれば、他人に迷惑をかけることなく自分が安全に道路の向こう側に渡れるか、その判断でさえ他人や機械まかせにしていたら、人間の脳や感覚は衰えていくばかりである。が、そうした人間としての武器を急激に錆びつかせているのが、私たち現代人なのだろう。良くも悪くも、あらゆるものが便利に用意され、また、秩序づけられており、それらのレールの上を歩いていれば、頭や感覚を使わずとも生きていける世の中なのである。
ふだんのさいとうたかお氏は、間違いなく赤信号を堂々と無視して歩いているのだろう。だけど、たとえ信号が青でも左右を確かめることを怠らない人なのだと思う。それは、この便利に仕上げられた現代社会で非常に窮屈な生き方なのかも知れないが、より動物的本能に忠実な生き方のような気がする。
「判断の基準を自分自身にもつこと」、そして「自分の身は自分で守ること」。そうしたことを意識して実践していかなければ、頭や、感覚や、判断力は退化の一途をたどることになるだろう。
私はさいとうたかを氏ほど大胆にはなれないが、少なくとも、子供に対して「信号を守ることの必要性」と併せて、「自分自身で判断することの必要性」を説ける大人になりたい。
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