「学校教育」>「家庭教育」のマチガイ
2002.7.19
「ゆとり教育」の名目で今年の4月からスタートした「完全週休二日制」や「授業内容の三割削減」に対する波紋が広まっている。
何十年来の「詰め込み教育」を反省し、子どもたちの自主性を育てようという骨子を持つこの「ゆとり教育」だが、フタを開けてみれば「学力の低下につながる」「塾通いを助長する」など、保護者から不安視する声が続出。「テレビやゲームの時間が増えた」「夜更かしなど生活が乱れた」といった実例報告も多いという。
実にアホらしい話である。
単刀直入に言わせてもらおう。
「ゆとり教育」だか何だか知らないが、学校教育の枠組みをちょっとやそっと変えただけでは、現状取りざたされている教育問題は、何一つ解消されない。されるワケがない。
では学校教育の内容を変えればいいのか? それも少し違う。たしかに日本が築き上げてきた学歴社会の弊害を考えれば、教育システムの構造改革と並行して、教育内容の改善は急務だ。しかし、今ある教育問題の焦点をそこに限定するのは見当違いである。
最大の問題は何なのか——これは「家庭教育」に尽きる。果たしてこの数十年間、日本の保護者が、どれほど学校教育に依存してきたかを冷静に分析する必要がある。
その依存度たるは「無責任」としか言えないほどのレベルではなかっただろうか。
子どもを教育するのは「家庭」ではなく「学校」だと信じて疑わない保護者が、「学校教育」の芽をどれほど多くつぶしてきたことか。子どもの人権を過剰に主張し、学校教育の現場から「教育」を奪ったのは誰なのか、ということ。
「テレビやゲームの時間が増えた」「夜更かしなど生活が乱れた」——それらのどこが「ゆとり教育」の弊害だというのか。「家庭教育」の至らなさまでをも「学校教育」に責任転嫁するその堂々たる振る舞いには、あきれて言葉もない。
そういった責任転嫁を、「学校教育」を批判することで強引に正当化してきた結果が、失墜した現在の日本の教育だということにまったく気付いていない。
ある調査で、日本とアメリカの高校生に「あなたは次のようなことについて誰から影響を受けたと思いますか?」という質問をした。「自分の責任を果たす」「隣人愛の心を持つ」「自分勝手をしない」といった項目に対して、「父母から影響を受けた」と回答した日本の高校生の割合は、アメリカの高校生の半分以下だったという。
さて、ここでもう一度質問したい。
「ゆとり教育」の是非が問うているのは、「学校教育」と「家庭教育」、どちらのあり方なのだろうか?
その回答を良識ある保護者の方々に導き出してもらいたいものである。
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