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No.52「アメリカン・グラフィティ」

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 銀幕をさまよう名言集!  No.52  2009.8.18発行 
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1973年/アメリカ 「アメリカン・グラフィティ」より
舞台は1962年のカリフォルニア。
ロックン・ロール41曲をBGMで流しながら
若者たちのある夏の一夜を描いた
青春群像劇の傑作。
音楽、ファッション、クルマなど、
60年代のアメリカンカルチャーが
スクリーンからあふれ出してくる1本だ。
たまり場のドライブインには、
仲のいい4人の野郎が集まっていた。
やがて彼らはバラバラに街へ散った。
恋人とすったもんだする者、
イカした美女とドライブに出る者、
不良集団の仲間に取り込まれる者。
クルマでスピード勝負を挑まれる者。
たった一夜ながらも、
彼らのエピソードは実に豊富だ。
主人公の一人で、
気弱でバカにされやすいキャラのテリーは、
友人から58年式シェビー・インパラを借りて、
かなりゴキゲン。
ゴキゲンついでに、
美女デビーのナンパに成功した。
はじめはカッコをつけていたテリーだったが、
徐々にメッキが剥がれていき、
行く先々でさまざまなトラブルに巻き込まれる。
朝が来るころには、
ふたりともクタクタになっていた……。
テリーは自分の不甲斐なさに嫌気がさし、
自尊心も傷つけられた。
デビーもさそがし怒っているかと思いきや、
彼女は意外にもこう切り出した――
デビー:「テリー、今日は楽しかったわ」
テリー:「(自嘲気味に)よせよ」
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デビー:「本当よ。すごくおもしろかった。
     ドライブしてお酒も買ったし、
     強盗も見たわ。
     運河に行って、クルマも盗まれた。
     吐くのも見たし、
     おまけにド迫力のケンカ。
     スリル満点だった」
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波瀾万丈の一夜を
「楽しかった」と肯定できるデビーは、
なかなか素晴らしい女性だと思う。
皆さんはどうだろう?
毎日代わり映えのしない平穏な日々。
それもひとつの幸せかもしれない。
でも、せっかく生きているのだから、
いろいろなことを実際に見聞きし、
経験したほうが、
人生は楽しいのではないだろうか。
想像してみるといいだろう。
万が一、明日命が終わるとして、
振り返ったときに、
豊かな人生だったと感じるのはどちらだろう?
「何ごともなく平和だった毎日」
あるいは
「いろいろ経験して波瀾万丈だった毎日」。
人にもよるだろうが、
後者に軍配を上げる人は少なくないだろう。
テリーとデビー。
客観的に見れば、
彼らはツイてないだけではなく、
していることも危なっかしい。
したり顔の大人であれば
「もっと堅実に生きたほうがいいよ」と
アドバイスするかもしれない。
でも、何一つ経験しようともせず、
チャレンジしようともせず、
じっと家に引きこもっている誰かと比べれば、
彼らが一夜に経験した人生は、
ずいぶんと豊かなものに見える。
未知なる世界に思い切って足を踏み入れることは、
この世に生きる醍醐味のひとつかもしれない。
とくに青春時代は、
失敗や間違いが許される時期でもある。
踏み込むことができる未知なる世界が、
そこらじゅうにゴロゴロしている。
そんな素晴らしい時期がほかにあるだろうか。
(青春期のただ中にいる彼らは、
 往々にしてその素晴らしさに、
 気づいていないものだが……)
大人になればなるほど、
失敗を恐れるようになるし、
世あたりもうまくなる。
守りに入るし、打算的にもなる。
変化や浪費を嫌うようにもなる。
そんな平穏無事な日々より
失敗やデタラメや間違いだらけの青春期が、
キラキラと輝いて見えるのは
当然のことかもしれない。
逆を言えば、
大人になっても輝いている人は、
リスクや失敗を恐れずに、
果敢に何かに挑戦し続けている人なのだろう。
死ぬ間際に人生を振り返ったときに、
自分の過去に、
ほほ笑むことのできる人なのだろう。
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●編集後記             
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冒頭で流れる
「ロック・アラウンド・ザ・クロック」をはじめ、
全編に流れるロックン・ロールは、
そのどれもが名曲ばかり。
若い人でも、テレビや映画、ラジオなどで、
何曲かは耳にしたことがあるでしょう。
そうしたアメリカンロックと、
32年式フォード・デュース・クーペ
をはじめとしたCOOLな劇中車と、
ボリュームを上げたカーラジオと、
野郎どものガールハントの、
なんともよく似合うこと!
理屈ではなく、
文化というのはそういうものなのでしょう。
そういう意味でも、
本作「アメリカン・グラフィティ」は、
1962年のアメリカのリアリティそのもの。
アメリカ人によって作られた
極めてアメリカ的な映画といえるでしょう。
しかしながら、
そこに描かれる若者たちの心理や、
随所にちりばめられたノスタルジー、
あるいは洒落っ気のセンスなどは、
世界や時代を超越する普遍性を秘めています。
そこにまたこの映画の素晴らしさがあるように思います。
監督はかのジョージ・ルーカス(当時29歳!)。
ルーカスの才能に早くから目を付けていた
フランシス・フォード・コッポラが、
「製作」にクレジットされています。
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■銀幕をさまよう名言集! No.52「アメリカン・グラフィティ」
マガジンID:0000255028
発行者  :山口拓朗
●公式サイト「フリーライター・山口拓朗の音吐朗々NOTE」
http://yamaguchi-takuro.com/
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