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No.53「旅するジーンズと16歳の夏」

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 銀幕をさまよう名言集!  No.53  2009.9.21発行 
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2005年/アメリカ 「旅するジーンズと16歳の夏」より
幼なじみの16歳の少女4人は、
離ればなれの夏を
初めて過ごすことになった。
別れの前日、偶然入った古着屋で、
体型が異なる4人の誰が履いてもフィットする
不思議な1本のジーンズに出合う。
4人はそのジーンズを友情の絆として、
順番に着回す約束を交わす……。
ホロリとせつなく、
そして心あたたまる
ガーリー・ムービーだ。
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4人のうちのひとり、
リーナは、
祖父母のいるギリシャで
夏を過ごすことになった。
リーナは海で出会った
コストスという青年に心惹かれるが、
祖母から
「二度とコストスに会わない」
という約束をさせられる。
なんでも祖父母とコストスの一族は、
長年憎み合っているのだというのだ。
ある日、リーナは、
港でコストスと遭遇する。
コストス 「リーナ、待って。 
      船を出すけど君も来ない?」
リーナ  「だめよ、叱られる」
コストス 「聞いたんだね?」
リーナ  「私が名前を名乗ったときに、
     (一族同士が憎み合っていることを)なぜ黙ってたの?」
コストス 「年寄りのケンカに僕らは関係ないからさ」
リーナ  「でも何か原因があるんでしょ?」
コストス 「島のケンカは、すべて金と魚がらみさ。 
      俺の祖父はだまされたというし、
      君のおじいちゃんは、
      うちが獲った魚が食中毒を出したと言う……」
リーナ  「真実はどっち?」
コストスは晴れ渡った空を仰ぐようにして、
こう答える――
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     「真実は――天気がいいってことさ」
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コストス 「ほかは気にするな」
リーナ  「気になるわよ」
人と人はいがみ合うし、
憎み合う。
珍しくはない。
昔からあることだし、
今もあることだ。
憎み合うのは、
国同士のこともあれば、
民族同士のこともあれば、
隣人同士のこともあれば、
友人同士のこともあれば、
家族同士のこともある。
憎み合うとき、人は、
誰もが自分の「正義」を主張し、
相手を「悪」だと思い込む。
がしかし、
人と人が憎み合う状況において、
どちらか一方の「正義」だけが、
絶対的に正しいということが、
どれだけあるだろうか?
どちらか一方の「正義」だけが、
もし本当に正しいとしたら、
それは憎み合いではなく、
迫害というものだろう。
憎み合いは、
常に主観と主観のぶつかり合いであり、
そこに客観的な真実を見つけることは
極めて難しい。
自分が当事者でなければ、なおさらに。
だから、
     「真実はどっち?」
というリーナの愚問を
コストスは制したのだ。
     「真実は――天気がいいってことさ」
と。
そう、真実とはそういうものだろう。
見上げた空が青いということ。
それぐらいが、
人間が見抜ける真実であり、
信じるに足る真実なのではないだろうか。
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●編集後記             
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本作「旅するジーンズと16歳の夏」で、
ジーンズを狂言回しに展開されるのは、
16歳の少女4人の青春ドラマです。
さまざまな出会いと別れを経験しながら、
彼女たちは、
それぞれ壁にぶちあたります。
悩み、傷付き、葛藤し、
挫折を経験します。
4人はそれぞれの方法で、
目の前の壁を乗り越えようとしますが、
なかなか乗り越えられない。
そんなとき、
ほかの3人から救いの手が差し伸べられるのです。
ときに叱咤激励という方法で。
ときに相手の傷ごと抱きしめるという方法で。
ときにそっと背中を押してあげる、
という方法で。
痛々しいエピソードも少なくない4人に
うらやましさを感じるのは、
彼女たちが、人生の糧となる
宝物(=親友)を持っているからに
ほかなりません。
完璧ではない自分を受け入れながら、
一生懸命に生きる4人に
ついついエールを送ってしまいます。
「旅するジーンズと16歳の夏」の続編
「旅するジーンズと19歳の旅立ち」とあわせて、
青春映画好きの方におすすめです。
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■銀幕をさまよう名言集! No.53「旅するジーンズと16歳の夏」
マガジンID:0000255028
発行者  :山口拓朗
●公式サイト「フリーライター・山口拓朗の音吐朗々NOTE」
http://yamaguchi-takuro.com/
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