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建築家の安藤忠雄/本を捨てるな

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2004.7.21
今の日本人は、物質的に豊かでも心の栄養失調に陥ってはいないか。
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私は、ただ単に「工期と規模だけで決まるビジネス」というのではなく、建築物をつくることを楽しみたい。現実に依頼されるものや目の前のものだけを考えていたら何も生まれない。様々な角度から物事を考えることで、考え方に奥行きが生まれる。それが教養の力であり、そのきっかけを与えてくれるのが活字だ。一冊読むことで、たくさんのことを読みとれる文学のような建築物をつくりたいと思っている。


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四年ほど前に、ある企画で、百歳のおばあさんと話をした。このおばさんは「私は今でも本を読んでいる」「新聞も読んでいる」と言っていた。「日々勉強だ」と話す顔は、しっかりとしていて、美しく年をとられたのだろうと感じだ。そして、目を見ると「まだまだ生きるぞ」という気持ちが伝わってきた。「百歳まで自分なりの人生を送れたのは、本のおかげ」と言ったおばあさんの生き方に、我々は学ぶべきだ。

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