山口拓朗公式サイト
山口拓朗公式サイト > 315■映画批評(鑑賞順) > 「トランスフォーマー」

「トランスフォーマー」

Pocket

2007.8.22
movie.transformers.jpg
公開中の映画「トランスフォーマー」を観賞。
監督:マイケル・ベイ 製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ、マイケル・ベイ 製作:マイケル・ベイ 出演:シア・ラブーフ ミーガン・フォックス ジョン・ボイトほか  上映時間:144分 配給:2007米/UIP
S・スピルバーグとマイケル・べイ。ハリウッド映画の巨匠ふたりが製作した新作は、最新VFXを駆使した映像と、地球外生命同士のバトルアクションという、よくも悪くもハリウッド映画の王道を行くような作品である。


クルマやヘリコプター、ラジカセ、携帯電話……あらゆるモノに化けた地球外生命。彼らが「本来の姿⇔モノ」にトランスフォーム(変身)するサマが最大の見どころ。企画の着眼点がその昔に日本で発売された“変身おもちゃ”だというから、日本のおもちゃ文化の底力を思い知らされる。
突っ込みどころを挙げてしまえば、「宇宙戦争」(マイケル・べイ監督)と同じくらいの量になるが(笑)、「ビジュアル的な面白さ」を追求するという狙いがはっきりしている作品に対して、あれこれ突っ込みを入れるのは野暮かもしれない。ただ、具体的な突っ込みを入れずとも、観賞直後の感想を簡潔に言い表わすならば、「心に残らない映画」と表現するほかない。
VFXを駆使した懲りまくりの映像に、圧倒的なスピードとド迫力——、それらを否定するつもりはないが、CGを駆使したハリウッド映画をさんざん見せられてきたキョウビ、「最新技術!」「驚愕の映像革命!」といわれても、正直、もう驚かされれることはない。
ただし、一部のマニア——「ホビー」や「戦闘&軍事」「映像」「変身物語」「アクション」「SF」などを愛する方々——にとっては、自分の興味ある対象がリアルに描かれているだけに、楽しめる要素はあるし、そういう意味では、個人的な「心に残らない映画」という感想をもってして、本作に「駄作」の烙印を押すことは賢明ではないだろう。
それに、どこにでもいそうな優男的な主人公(サム)と地球外生命が心を通わすシーンなどは、その安易さに目をつぶれさえすれば、なかなかユニークで面白い。とくに10分近くの時間を費やしたと思われるサム宅への地球外生命の来訪シーンは、かなりほほ笑ましく、笑える。
そのほかにも、ボロ車と言われて傷つくポンコツ車化けの地球外生命や、サムとお母さんの“ハッピータイム”にまつわる会話、「日本製はスゴイ…さすがサムライの国だ」的なヘンテコ日本オマージュ、地球外生命の「この少年は女性との交配をのぞんでいる」的な空気読めない系発言、サムがあらゆる場面で連呼する「NO! ノ、ノ、ノ、ノ、ノー!」などのバカバカしい会話やエピソードも笑える。
とはいえ、そうしたディテールの小ネタと物語の質は別ものであり、“キューブ”という結局のところよくわからない物体をめぐっての追跡劇や、悪と善が混在する地球外生命同士のバトルなど、迫力やスピード感のわりに中身の薄い物語に、見るべき点はわずか。変身シーンを見せたいがためにこしらえられた脚本とはいえ、地球外生命というテーマにも、その切り口にも、何ら新しさが見られないのはどうかと思う。
本作「トランスフォーマー」は、前述の通り、一部のマニアか、VFX映像にまだあまり触れていない方でもない限り、積極的にオススメする要素はない。一緒に観賞した妻の、観賞後の第一声は「30点…」であったが、滑稽ながらも少し笑えたユーモアを考慮して、私はそこに30点上乗せしたい。見る人を選ぶ作品であることだけは、ハッキリ言っておきたい。

↓ふむふむ、と思った方はポチっとお願いします★
人気blogランキングへ

お気に入り点数:60点/100点満点中

記事はお役に立ちましたか?

以下のソーシャルボタンで共有してもらえると嬉しいです。

 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
Pocket