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「ラスベガスをぶっつぶせ」

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2008.6.7
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公開中の「ラスベガスをぶっつぶせ」を鑑賞。
監督:ロバート・ルケティック 原作:ベン・メズリック 製作:ケヴィン・スペイシー 出演:ジム・スタージェス、ケイト・ボスワース、ローレンス・フィッシュバーン、ケヴィン・スペイシーほか 上映時間:122分 配給:2008米/ソニー
マサチューセッツ工科大学に通うベンは、すでにハーバード大学医学部への進学資格を得ているにもかかわらず、30万ドルの学費のメドをつけられずにいた。そんなある日、そのズバ抜けた数学力をローザ教授に見出され、ブラックジャックの必勝法を習得するチームに参加。ベンは同じ学生のメンバーとトレーニングを積み、いざ、ラスベガスに乗り込むが……。


青年期にありがちな“初めて味わう甘美な成功”に端を発し、“自信過剰”→“しっぺ返し”→“リベンジ”とテンポよく進む青春ジェットコースタームービーだ。
「ラスベガス」と「ブラックジャック」の組み合わせとくれば、ディーラーとプレイヤーの手に汗握るかけ引きが目玉かと思いきや、ブラックジャックの必勝法(カード・カウンティング)は記憶力頼りの確率論につき、心理的なかけ引きや、一か八かのギャンブル性はやや低め。その分、ハラハラドキドキの要素も控えめとなる。
映画の核は、イケメンの理系的天才学生が、苦学生然としていた日常からかけ離れた別世界に身を投げることによって生まれる、起伏の激しいドラマにこそある。
当初ベンは、学費を稼ぐ目的でチームに参加していたが、ゲームで勝ちを重ねるに連れて、時給8$のアルバイトにあくせくしている日常の対極にある華々しい世界にのめり込み、その場に居心地のよさを感じはじめる。もちろん、そのまま突き進めば億万長者! ——とはいかないのが、この手の映画のお約束ではあるのだが。
調子に乗ったベンは、ある夜、ゲームでスタンドプレーをしてしまい、チームに損害を与え、ローザ教授に見限られる。金銭的な補填を迫られるだけならまだしも、彼の未来を含めたありとあらゆるものが奪われ、気づいたときには、頼るべき親友さえもいなくなっていた……という“さもありなん”な展開だ。
そうしたベンの波乱万丈な数カ月を描きながら、ベンとローザ教授との微妙なパワーバランスの変化や、ベンと美人女学生のラブロマンス、カジノ運営の裏事情がからむ勧善懲悪ドラマ……等々、さまざまなエピソードを織り交ぜるあたりは、いかにもハリウッド仕立てのエンターテインメント作品らしいご愛嬌。もちろん、ラスベガスならではのゴージャスな空気感も、この作品においては外せない魅力だろう。
ただし、個々のエピソードは、おしなべて深みがなく、クライマックスの描き方も類型的。また、ベンとローザ教授を除くチームメンバーが、まったく魅力的に描かれていないうえ、彼らがいかに沈着冷静なブラックジャックの必勝集団であるとはいえ、せっかくのカジノシーンでは、ディーラーとプレイヤーの心理戦に比重を置くなど、その見せ方にもうひと工夫ほしかった。
致命的なマイナス点こそないものの、テーマにしろ、ストーリーにしろ、会話にしろ、ユーモアにしろ、そのすべてが律義に平均点のボーダー上に並ぶ本作「ラスベガスをぶっつぶせ」。気ラクに楽しめる映画には違いないが、設定のおもしろさ(実話ベース)だけを頼りに、あまりアイデアもないままに撮ってしまった作品という印象はぬぐえない。

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