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思想家の内田樹/ブログ「内田樹の研究室」

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2008.8.20
つねづね申し上げているように、私は「リーダーシップ」とか「エンパワーメント」とか「社会進出」とかいうことばで教育の目的を語ることを好まない。
好まないどころか、それこそが今日の教育崩壊の構造的な原因であると考えている。
※ ※ ※ ※ ※
ふつうの人間集団ではリーダーとリーダー以外の人間では、圧倒的に「リーダー以外の人間」の方が多い。だから、リーダーシップと同じように、「サブ・リーダーシップ」や、「リードされるシップ」や、「何かというとリーダーにあやつけるシップ」や、「あとはオレに任せてくれシップ」や、「どっと盛り上がりましょうシップ」や、「まあまあ、そんなにかりかりせんと。どや、ここはひとつナカとってやね調停シップ」など多様な「シップ」が共同体の機能的で健全な運転のためには必要である。
リーダー以外のこれらの「シップ」の重要性について、多少とでも組織で働いた経験のある社会人であれば、誰でも身に浸みて知っているはずである。
なのに、なぜ「リーダーシップ」だけが涵養の対象となり、それ以外の「シップ」に教育機関は資源の投入を惜しむのか。私にはその理由がわからない。
全員がリーダーであるような共同体は存在しえない。

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