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「アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~」

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2009.4.30
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公開中の「アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~」。
監督:ミン・ギュドン 原作:よしながふみ 脚本:ミン・ギュドン、イ・キョンウィ、キム・ダヨン 撮影:キム・ジュンヨン 美術:チョン・キョンラン 音楽:チャン・ヨンギュ、タル・パラン 出演:チュ・ジフン、キム・ジェウク、ユ・アイン、アンディー・ジレほか 上映時間:111分 配給:2008韓/ショウゲート
一流企業を辞めたジニョク(チュ・ジフン)は、小さな洋菓子店「アンティーク」を開く。そこに、男性関係のトラブルで店を転々としてきた一流パティシエにして“魔性のゲイ”の異名を取るソヌ(キム・ジェウク)を含めた3人のスタッフが加わり、アンティークは評判の店となる。そんなある日、街で連続誘拐事件が発生し……。


西洋骨董洋菓子店「アンティーク」に集う青年4人の愛やら友情やらすったもんだやらを描いたドタバタ劇。一見おしゃれでスマートな韓国映画かと思いきや、ナンセンスあり、ブラックユーモアありのコメディ路線だ。
なかでもジニョクとソヌがくり広げる一風変わったバトル、そこに元ボクサーとジニョクの幼なじみが割って入ってきて徐々にバトルロイヤル風になっていく前半のくだりが、バカバカしくも軽妙。調理場を舞台にしたポップセンスあふれるミュージカル仕立ての演出も楽しい。
歴史の重みと工芸技術の粋が感じられる「骨董」と、幸せを象徴する甘くキュートな「ケーキ」。この対照的なふたつの「美しさ」を対比させた絵づくりも、この作品のひとつの見どころといえるだろう。
ところが、4人の男の人間模様とは別のところで、シリアスな「幼児誘拐事件」のエピソードが生まれたあたりから、ふくらみかけていた映画の魅力がすぼんでいく。思わせぶりなミステリーに主役を奪われた格好だ。おそらく原作に忠実なのだろうが、映画の尺の有限性にかんがみれば、チープな謎で観客の興味を引くのではなく、ゆるい日常のなかで生まれるささやかなエピソードを通じて、4人の関係性を深める計らいがほしかった。
日本のコミックを原作にした韓国映画といえば「カンナさん大成功です!」(06年)が記憶に新しいが、あちらが、人間の本質に迫るようなテーマ性を有していたのに対し、本作「アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~」には、観客に提起するようなテーマ性が見あたらない。全体的に底が浅く、ジニョクとソヌのキャラクター頼り。せめてジニョクのトラウマをほかの3人が何らかの形で共有できるような仕掛けがあれば、もう少しドラマの魅力が増したかもしれない。

お気に入り点数:45点/100点満点中

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