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映画批評「グッド・バッド・ウィアード」

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2009.8.28 映画批評
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8月29日公開の「グッド・バッド・ウィアード」。
監督・脚本:キム・ジウン 出演:イ・ビョンホン、チョン・ウソン、ソン・ガンホほか 上映時間:129分・PG-12 配給:2008韓/CJ ENTERTAINENT、ショウゲート
さまざまな人種が入り乱れて混沌を極める1930年代の満州。沈着冷静な賞金ハンター“グッド”(チョン・ウソン)と冷酷な殺し屋“バッド”(イ・ビョンホン)とお調子者を気取るこそ泥“ウィアード”(ソン・ガンホ)が、宝の地図の争奪戦をくり広げる。果たして、ライバルから抜きん出て、最後に宝の地図を手にするのはダレだ? 


韓国の人気スター3人が扮する濃厚なキャラクターが一気呵成のアクション(銃撃戦&格闘&追跡劇)をくり広げる、韓国発、ノンストップ・アクション・エンターテインメント大作だ。
宝の地図自体はドラマを動かすためのツールにすぎない。この映画の見どころは、徹頭徹尾お熱いアクションだ。「銃器200余丁に空砲弾3万発」の宣伝文句も大げさではなく、数分に一度は激しい銃撃戦が展開される。延々と続くバトルがまったく飽きないのは、シチュエーションと見せ方にさまざまなアイデアを凝らしているからだ。激しく動きまくるカメラは一見粗雑な印象を受けるが、実はアングルやカット割り、小道具、役者の動き、間合いなど、ディテールにこだわった絵作りがなされている。映画を愛する製作者の心意気が、画面の端々まで行き届いている。
チョン・ウソン、イ・ビョンホン、ソン・ガンホの3大スターの頑張りが目を見張る。クールで正当派なカッコよさで観客を魅了するチョン・ウソン。狂気を漂わす殺し屋を怪演するイ・ビョンホン、幾度となく観客から笑いを引き出すユーモア担当のソン・ガンホ。三者三様の役どころながら、それぞれが主演級の存在感を示す。韓国映画お約束の「惚れた腫れた」を抜きに2時間強を乗り切るこの映画の体力源は、3大スターが扮する立ちまくったキャラのおかげでもある。
量産されるアクションシーンのクライマックスは、砂漠を舞台に馬とバイクが疾駆する大追跡劇と、ウエスタンにどでかくオマージュを捧げたガンファイト。熱さと男くささと甘美な死の誘惑をふんだんに盛り込みつつ、最後には、オーバーヒートぎりぎりまで上昇したボルテージを“男の美学”で収斂する。観客の気持ちを鷲づみにした映画冒頭の蒸気機関車襲撃シーンといい、この映画のサービス精神はどこまでも旺盛だ。
3人の個性的な(アクの強い?)スターを手なずけながら、出色の娯楽作品を完成させたキム・ジウン監督の才腕が光る。3大スターが多忙なスケジュールをやり繰りしてまでこの映画に参加したのも、母国を代表するこの気鋭監督と一緒に仕事がしたかったがゆえ。結果、絵になる男3人が一堂に会す偉業が達成されたわけだ。行間を読みたがる文芸志向の映画ファンにはおすすめできないが、本作「グッド・バッド・ウィアード」には読むべき行間がほとんど見あたらない。無国籍気分にどっぷり浸りながらスリルとアクションとユーモアを楽しむ! そう割り切って劇場入りするのが正解だろう。

お気に入り点数:75点/100点満点中

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