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映画批評「マーシャル博士の恐竜ランド」

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2009.9.29 映画批評
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公開中の「マーシャル博士の恐竜ランド」。
監督・製作総指揮:ブラッド・シルバーリング 脚本:クリス・ヘンチー、デニス・マクニコラス 出演:ウィル・フェレル、アンナ・フリエル、ダニー・マクブライド、ヨーマ・タッコンほか 上映時間:101分 配給:2009米/東宝東和
科学者のマーシャル博士(ウィル・フィレル)は、タイムワープの研究を進めていた。彼は異次元世界の存在を信じていたが、学会や世間からは総スカンを食っていた。そんな彼の前に現れたのが、博士の学説を信じる才女ホリー(アンナ・フリエル)。マーシャル博士はタイムワープの装置を完成させると、ホリーと一緒に時空の歪みが生じていると思われる荒野へと向かった……。


キング・オブ・コメディことウィル・フィレルが主演を張る、ゆるゆるのアドベンチャー・コメディ。タイムワープ先の異次元で行動を共にするのは、マーシャル博士とホリー、それにタイムワープに巻き込まれた中年男ウィル(ダニー・マクブライド)と、異次元で出会った類人猿のチャカ(ヨーマ・タッコン)の4人。なくしたタイムワープ装置を探し出すという一応の筋はあるが、正直、そうしたドラマは添え物も同然。この映画は、一にも二にも、マーシャル博士とその仲間がくり出すおバカでボケボケな発言&行動を楽しもう! というものだ。
タイムワープ装置から流れる楽曲が、なぜか名作ミュージカル「コーラスライン」の“I Hope Get It”なのだが、このおなじみのダンスナンバーが異次元空間と完全にミスマッチ。そのミスマッチに乗じて再三笑いを引き出すしたたかさが心憎く、猿人類のチャカと“I Hope Get It”を組み合わせたネタなどは、設定無視の禁じ手で大いに笑えた。そうそう、中年男ウィルがシェールのヒット曲“Believe”を色っぽく歌い上げるシーンも捨てがたいなあ、とまあ、以上は個人的な好みだ。
言葉尻をとらえた軽めのボケ、ツッコミ無用の不条理ギャグ、小便や糞を絡めたお下品ネタなど、スクリーンのあちらから届けられる笑いの数々は、千差万別にして玉石混淆。ウィル・フィレル好きなら満足できるだろうし、そうでなければ、さっぱり……という内容だ。
異次元を舞台にした注目の映像は、VFXを駆使した恐竜(T・レックス)の表現が大迫力。4人が恐竜に追いかけられる描写は、想像以上にリアルでスリリングだ。その反面、物語のカギを握る謎のトカゲ族「スリースタック」には、しょぼい着ぐるみを確信犯的に採用するB級ぶり(動きもノロい)。なんとも人を食ったような演出である。
奇想天外な異次元空間と、突飛で予測不能なギャグ&ボケをとことん楽しむ。それができればチケット代はペイできるし、4人のスリルあふれる冒険活劇まで楽しめればお釣りがくるであろう。ただし、お馬鹿な笑いに不寛容な方、抵抗力のない方については、劇場入りを躊躇したほうが賢明かもしれない。

お気に入り点数:60点/100点満点中

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