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   <title>フリーライター・山口拓朗の音吐朗々NOTE</title>
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   <updated>2008-10-03T16:04:49Z</updated>
   <subtitle>フリーライター・山口拓朗の公式サイト。新作映画のレビューを不定期連載しています。</subtitle>
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   <title>「ミス・サイゴン」</title>
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   <published>2008-10-03T08:05:21Z</published>
   <updated>2008-10-03T16:04:49Z</updated>
   
   <summary>2008.10.3 帝国劇場にてロングラン公演中のミュージカル「ミス・サイゴン」...</summary>
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         <category term="225■舞台" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://yamaguchi-takuro.com/">
      <![CDATA[2008.10.3

<img alt="miss_saigon.jpg" src="http://yamaguchi-takuro.com/miss_saigon.jpg" width="352" height="205" />

帝国劇場にてロングラン公演中のミュージカル「<class ="text1"><a href="http://www.tohostage.com/miss_saigon/">ミス・サイゴン</a>」を観劇。


作：アラン・ブーブリル＆クロード･ミッシェル＝シェーンベルク　オリジナルプロデューサー：キャメロン･マッキントッシュ　出演（観劇日）：橋本さとし、知念里奈、照井裕隆、岡幸二郎、シルビア・グラブ、石井一彰、池谷祐子ほか　製作：東宝　


舞台はベトナム戦争のまっただなか、陥落寸前のサイゴン（現ホーチミン市）。エンジニアが経営するキャバレーでは、連日死闘をくり広げている兵士たちが、一夜の快楽を求めて「ミス･サイゴン」を選ぶパーティに興じている。その会場で、米兵クリスと、田舎から出てきたばかりの17歳のベトナム人少女キムは出会うが……。]]>
      


93年に日本で初演、04年には2度目のロングランが行われた名作「ミス・サイゴン」。日本公演は今回で3度目となる。


ベトナム人少女とアメリカ兵。戦争で心に傷を負ったふたりがまず重ねたのは、カラダではなく言葉であった。心の虚しさを埋め合わすかのように、安らぎを分かち合うふたりは、急速に惹かれあっていく。戦争が結びつけた純愛である。


ただし、ふたりの仲を切り裂くのも、やはり戦争だ。キムのおなかに新たな命が芽生えたことも知らず、クリスはアメリカ帰国後にほかの女性と結婚。一方、ベトナムに残されたキムは、健気なほど一途にクリスを思う。とりわけ、キムが息子に向けるまなざしのあたたかさは、クリスに対する深い愛の証左だ。息子に重ねるクリスの面影。待つ立場ゆえの苦しさ、せつなさはあるものの、キムはいつの日かクリスが戻って来ると信じている。そして、その希望こそが、キムにとって唯一の生きる理由でもあるのだ。


終盤、キムが息子と暮すベトナムに、クリスが妻を連れて訪れて以降は、観劇者にとってツラいシーンが続く。おそらくキムは報われないのだろうという予感と、その予感を裏切ることなく進むストーリーに、胸がしめつけられる。そして、驚愕のクライマックス——。


だれもキムを責められまい。息子を愛する気持ちと、妻のあるクリスを諦めきれない気持ち。その相容れない気持ちにケリをつけるために彼女が選んだ選択肢。いや、もちろん、彼女の行為は美談ではなく過ちなのだということは頭では理解している。ただ、戦争という過酷な背景に目を向けたとき、理屈だけで彼女を糾弾していいものだろうか、とも思う。と同時に、糾弾されるべきは、ありったけの不条理と悲劇を生み出す戦争そのものに対してだということも。


情緒あふれるメロディと詞。そして、楽曲の美しさは「ミス・サイゴン」の大きな魅力だ。その豊かな旋律は観劇者の隅々にまで染み入り、心の琴線に触れる。また、全編に渡って、小さなセリフにまで音符をつける「オペラスタイル」を採用した本作では、言葉以上に、メロディが微小な気持ちを伝える。役者の実力が試される演目とも言えるだろう。


なお、実物大のヘリコプターを用意した有名な第2幕の回想シーンは、離ればなれになったキムとクリスの悲しみを知るうえで極めて効果的な役割を果たしており、また、圧倒的なスケールを誇る舞台美術も圧巻だ。序盤でディテールを積み上げたキムとクリスの恋愛描写に加え、この臨場感あふれるシーンを盛り込んだことが、のちの展開に大きく活きてくる。


今回のロングラン公演では、主要な登場人物にそれぞれ4人の役者をつける「クアトロキャスト」を採用。見る日によって違ったアンサンブルが楽しめるのはもちろん、組み合わせによって、その都度新たな魅力を発見できる、という作りになっている。この日は、知念里奈の期待以上の演技力でキムを演じたほか、クリスに扮した照井裕隆も、美声をあやつりつつ、実直ゆえに悩み多きアメリカ青年を好演。キスシーンがやたら多いのだが……、そのマッチメイクを含めて、なかなかのお似合いのカップルだったように思う。


そして、本作「ミス・サイゴン」の精神的支柱とも言うべきエンジニアを演じた橋本さとしは、関西的なノリと軽快なフットワークで舞台上に華を与え、調子よくも憎めない役どころを完璧に務め上げた。重苦しい悲恋の物語にもかかわらず、本作がエンターテインメントとして優れた完成度に到達しているのは、エンジニアの存在があればこそ、である


難解なシーンもなく、親切なほど丁寧な演出と豊富なアドリブで、戦時の悲恋をエモーショナルに描いた名作ミュージカル「ミス・サイゴン」。人間の愛の本質と運命の不条理に迫った会心作である。公演日は残り少ないが（10月23日まで）、どの年代にも楽しめるミュージカルとしてオススメしたい。

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   <title>「宮廷画家ゴヤは見た」</title>
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   <published>2008-09-27T23:18:45Z</published>
   <updated>2008-10-06T12:03:39Z</updated>
   
   <summary>2008.9.28 10月4日より公開される「宮廷画家ゴヤは見た」。 監督・脚本...</summary>
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         <category term="115■映画レビュー（鑑賞順）" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://yamaguchi-takuro.com/">
      <![CDATA[2008.9.28

<img alt="movie.goya.jpg" src="http://yamaguchi-takuro.com/movie.goya.jpg" width="340" height="226" />

10月4日より公開される「<class ="text1"><a href="http://goya-mita.com/">宮廷画家ゴヤは見た</a>」。


監督・脚本：ミロス・フォアマン　脚本：ジャン＝クロード・カリエール　出演：ハビエル・バルデム、ナタリー・ポートマン、ステラン・スカルスガルドほか　上映時間：114分　配給：2006米／ゴー・シネマ


舞台は18世紀末のスペイン。宮廷画家のゴヤ（ステラン・スカルスガルド）がかつて肖像画を描いたことのある少女イネス（ナタリー・ポートマン）が、ユダヤ教だと疑われてカトリック教会の異端審問所に囚われてしまう。イネスの父は、イネスを救おうと神父ロレンソ（ハビエル・バルデム）を自宅のディナーに招待するが……。]]>
      <![CDATA[


18世紀から19世紀にかけて活躍したスペインの画家フランシスコ・デ・ゴヤ。彼は宮廷に従事する一方で、スペインがナポレオン軍の支配下に置かれて以降の動乱期には、権力や戦争に対する風刺的な作品も多数発表した近代画家の先駆けだ。


そんな画家の名前を冠した本作「宮廷画家ゴヤは見た」だが、そのタイトル名とは裏腹に、内容は巨匠作家の生涯に迫る、という類いの伝記物語ではない。ゴヤは重要なキーマンでこそあれ、ストーリーは、あくまでもゴヤの生きた時代を背景にしたフィクションなのだ。


収監中に精神を病んでしまった少女イネスと、多面的な顏を持ち、“権力”こそを貴ぶ神父ロレンソ。このふたりこそが本作の真の主人公である。


ふたりの波乱万丈な人生を透かして見えてくるのは、価値の定まらない社会に生きる難しさだ。主人公ふたりの悲劇的な末路はその証左だが、ふたりが禁断の情事に足を踏み入れた結果、“新たな悲劇”が生み落とされた点も見逃せない。世代を超えてもなお引き継がれる運命の呪縛……。人生とはなんと奇妙で不可解なものだろうか。


“支配者”と“価値観”が目まぐるしく変わる時代のなかで、「神」という言葉が、他者を支配するプロパガンダツールとして、あるいは保身のための隠れ蓑として、都合よく使われる。本質をとらえにくい混沌の社会に生きる人々は——王家も神父も兵士も庶民も関係なく——まるで泥舟に乗り合わせているかのような心もとなさだ。


そうした動乱期に、常に社会を冷静かつ客観的に見つめ続けた人物、それがゴヤだ。彼は、王室や貴族の御用達画家である一方で、戦争の悲惨さや人々の貧しさを伝えるメッセージ性の強い作品も積極的に描き続けた。ゴヤの作品の一つひとつが、イネスやロレンソが生きた時代背景を雄弁に物語るという演出は、画家をキーマンに起用した本作最大のアドバンテージだろう。


ただし、イネスとロレンソを軸にした異形のラブロマンスに対する好き嫌いは分かれるだろう。また、ミロス・フォアマン監督が紡ぎ上げた絵作りの華麗さはサスガの一言だが、主要な登場人物の内面への踏み込みがいささか甘く、その心理描写は今ひとつ表層的。とどのつまり観客は、大味な展開を楽しむのが関の山となる。


充実のキャストは、ハビエル・バルデムとナタリー・ポートマンという両翼が、それぞれ存在感のある突出した演技を披露する一方、ゴアに扮したステラン・スカルスガルトの、抑制の利いた演技も見ごたえ十分だ。実力派の俳優に恵まれたことが、これ幸いな1本ともいえるだろう。


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   <title>デイキャンプ @ウォーターパーク長瀞</title>
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   <published>2008-09-24T08:30:30Z</published>
   <updated>2008-09-30T00:59:55Z</updated>
   
   <summary>2008.9.23 秋分の日、秩父の「ウォーターパーク長瀞」でデイキャンプ。4家...</summary>
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         <category term="207■旅" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://yamaguchi-takuro.com/">
      <![CDATA[2008.9.23


秋分の日、秩父の「<class ="text1"><a href="http://www.waterpark.jp/">ウォーターパーク長瀞</a>」でデイキャンプ。4家族・総勢15名。スカっと秋晴れ……つうか夏のようにアッチい。子供たちは食い気もそこそこに、パンツ一丁のターザンルックで川遊び。そこいらから木の枝をかき集めて急造したイカダを川に浮かべとりマシタ。なんでもコイツで漁に出るのだとか……（笑）。自然での遊びは、カラダも頭をフルに使うからいいよね。大人たちは、肉、野菜、魚貝、焼きそばを突きつつ、のんびり過ごしましたとさ★
]]>
      <![CDATA[<img alt="08.9.23.1.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.9.23.1.JPG" width="165" height="220" /><img alt="08.9.23.2.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.9.23.2.JPG" width="165" height="220" />
自宅から1時間強でこの自然！（左）。ターザン一族による進水式（右）


<img alt="08.9.23.3.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.9.23.3.JPG" width="165" height="220" /><img alt="08.9.23.4.jpg" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.9.23.4.jpg" width="220" height="165" />
炭焼きってやっぱ最強（左）。遊びより食い気の大人メンバー（右）

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   <title>「アキレスと亀」</title>
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   <published>2008-09-19T06:06:06Z</published>
   <updated>2008-09-20T00:52:36Z</updated>
   
   <summary>2008.9.19 9月20日より公開される「アキレスと亀」。 監督・脚本・編集...</summary>
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         <category term="115■映画レビュー（鑑賞順）" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://yamaguchi-takuro.com/">
      <![CDATA[2008.9.19

<img alt="movie.akiresu.jpg" src="http://yamaguchi-takuro.com/movie.akiresu.jpg" width="360" height="203" />

9月20日より公開される「<class ="text1"><a href="http://www.office-kitano.co.jp/akiresu/">アキレスと亀</a>」。


監督・脚本・編集・北野武　音楽：梶浦由記　出演：ビートたけし、樋口可南子、柳憂怜、麻生久美子、中尾彬、伊武雅刀、大杉漣、大森南朋、筒井真理子、吉岡澪皇、円城寺あや、徳永えりほか　上映時間：119分　配給：2008日／東京テアトル＝オフィス北野


絵を描くのが大好きな少年、真知寿。彼は両親の自殺というツライ経験を経て青年へと成長していく。やがて真知寿は、最愛の女性、幸子と結婚し、二人三脚で芸術に打ち込むが……。

]]>
      <![CDATA[


「TAKESHI`S」「監督・ばんざい！」に続く北野武監督の“自己投影・芸術3部作”の最終章となるのが、本作「アキレスと亀」だ。


北野作品につき、お世辞にも万人受けするとは言い難いが、3部作のなかではもっともテーマが分かりやすく、ストーリーもスマートに整理されている。しかも、「芸術の価値とは？」という自問自答のテーマに、北野監督の“らしさ”、あるいは“自虐”が表れていて、なかなか興味深い仕上がりになっている。


そもそも「芸術の価値とは？」という問いに対する答えは、決してひとつではない、というか、ひとつであるわけがない。がしかし、本作「アキレスと亀」には、「なるほど芸術の価値とはそういうものかもしれないなあ」と思わせる、ロジックのようなものが感じられる。明確に、ではなく、皮膚感覚のようなものとして。そしてまた、一般論とはほど遠いものとして。


一心不乱に絵に打ち込む真知寿と、うさん臭い画商、うさん臭い画商の手玉に取られる絵画愛好家、このあたりの人間関係が突きつける赤裸々なリアリティが絶妙だ。この“さもありなん”な関係を前に、芸術の価値を考えることなど、ややこしい禅問答に付き合うようなものかもしれない。


晩年、画商に否定され続ける真知寿が、画商の言うがままに作風を変えていくくだりには、アイロニー（皮肉）とペーソス（哀感）がたっぷり。それは、夢と現実の狭間でもがくよりほかない、まさしく人間という生き物そのもののだ。一方で、少年期、青年期、晩年と人生を3分割して紡がれる物語は、折につけ、ユーモア（ビートたけし流コント）を挟み込むことにより、真知寿の愚直なほどまっすぐな生き方を、より濃く浮き上がらせる。


唯一しっくりいかなかったのが、柳憂怜が演じた青年期の真知寿と、ビートたけしが演じた晩年の真知寿に距離の開きを感じた点だ。それは、ビートたけしというあまりに大きい存在が、そう感じさせてしまったのかもしれないが、寡黙で存在感の薄かった優男が、やたらと奇行をくり返すくだりや、自分の娘に無関心すぎる描写には、人格的な齟齬を感じざるを得なかった（あるいは、年月の経過に伴う人格の変化としてとらえるべきなのだろうか…）。


樋口可南子や麻生久美子、中尾彬、伊武雅刀、大杉漣、大森南朋など、主人公を取り巻くキャストの陣容は文句なしの一線級で、作品全体に安定感をもたらしている。本作でデビューした子役の吉岡澪皇くんもナイスな仕事ぶりだ。


「芸術の価値とは？」——その問いに対する北野流の回答をどこに見つけるかは、人それぞれだろうが、私は、主人公の真知寿が生涯かぶり続けたベレー帽にあると、解釈している。おそらく、芸術の価値とは、それ以上でもそれ以下でもない。


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   <title>「おくりびと」</title>
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   <published>2008-09-16T13:22:37Z</published>
   <updated>2008-09-23T22:51:52Z</updated>
   
   <summary>2008.9.16 公開中の「おくりびと」を鑑賞。 監督：滝田洋二郎　製作総指揮...</summary>
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         <category term="190■オススメ作品（80点以上）" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
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      <![CDATA[2008.9.16

<img alt="okuribito.jpg" src="http://yamaguchi-takuro.com/okuribito.jpg" width="360" height="193" />

公開中の「<class ="text1"><a href="http://www.okuribito.jp/">おくりびと</a>」を鑑賞。


監督：滝田洋二郎　製作総指揮：間瀬泰宏　脚本：小山薫堂　撮影：浜田毅　音楽：久石譲　編集：川島章正　出演：本木雅弘、広末涼子、山崎努、余貴美子、吉行和子、笹野高史ほか　上映時間：130分　配給：2008日／松竹


所属していた楽団が解散することになり、妻と故郷の山形に戻ったチェロ弾きの大悟。旅行代理店かと思って面接に足を運んだ会社に即採用されるも、実際の仕事は、遺体を棺へ入れるというものだった。しかも、大悟の初仕事は、腐敗が進んだ老人の遺体だったため……。]]>
      <![CDATA[


着眼点がすばらしい。「納棺師（のうかんし）」。日本には昔からある職業なのだろうが、その実態を知る人はほとんどいない。そうした影の薄い職業にスポットライトを当て、なおかつ、のっけからその業務の仔細を生々しく描く本作に、多くの観客は一瞬にしてのめり込むことだろう。


納棺の仕方は、おそらく地域によって大きく異なるだろうし、こと現代社会において、その手法はより多様化・簡略化されているはずだ。それでも、本作で描かれる古式ゆかしい納棺の儀式からは、日本人の——死生観ともまた違った——死者に対する“思い”のようなものが垣間見られる。こうした納棺の儀式が、世界でどのような感慨をもって受け止められるのか、たいへん興味深いところだ。


伝統的な所作を重んじる一方で、遺族の気持ちをくみ取ることが求められる難しい仕事であるにもかかわらず、「人の死を扱う職業（ビジネス）＝いかがわしい・けがらわしい」というイメージが日本の風土には根付いており、主人公の大悟は、周囲の冷ややかな視線にさらされる。とりわけ、妻が夫（大悟）の職業を知った際に放った罵声は、ただでさえジレンマを抱える「納棺師」にとって、まさしく“泣きっ面に蜂”だ。


ただし、そうした劇中の冷ややかな視線とは別に、スクリーンを見つめる観客は、「納棺師」という仕事にある種の崇高さを感じることだろう。遺体の全身を清め、装束を着付けし、化粧を施し、表情を整える……。死んだ人間を美しくよみがえらせてからあの世に送り出す。その行為のなんと尊いことよ。納棺後に遺族の口をついて出る感謝の言葉は、「納棺師」にとって冥利にほかならない。


物語は、元チェロ弾きの大悟が、徐々に納棺師の魅力に惹かれ、のめり込んで行く物語を縦軸に、夢半ばに挫折したかつてのチェロ弾き人生との対比や、夫の仕事を受け入れられずに葛藤する妻との夫婦関係、納棺師になった大悟を冷たくあしらう幼なじみとの友情関係など、さまざまな横軸を絡めながら進む。


後半にきてグンと重みを増す“石文（いしぶみ）”をキーワードにした大悟と父の物語は、あまりにベタな、お涙ちょうだい系のドラマである。がしがし、その行き着く先を、しかとテーマの「納棺師」に結びつけたことにより、観客は“深い余韻”を手にすることになる。


また、“死”に対する静ひつな感慨を呼び起こしながらも、随所にユーモアを添加したことにより、本作「おくりびと」は、テーマからイメージされる辛気くささを回避し、要所要所で、客席にリラックスした笑いを届ける。 その一方で、チェロの旋律が心地よく響くBGMや、厳しくも美しい東北の風景を織り交ぜながら表現される世界は、日本的な情緒にあふれ、静かな感動を誘う。


ある種の甘美さを秘めた世界を正攻法な演出で紡いだ滝田監督の手腕、脇役にまで演技派をズラリと揃えたキャスティング、そして、観る者の琴線に触れる久石譲の音楽。それらがシルクのように滑らかに絡み合ったこの秀作は、モントリオール映画祭でグランプリを獲得。日本を代表してアカデミー賞の最優秀外国語映画賞部門へ出品されるという。


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   <title>「ウォンテッド」</title>
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   <published>2008-09-12T12:58:00Z</published>
   <updated>2008-10-06T01:26:37Z</updated>
   
   <summary>2008.9.12 9月20日より公開される（9/13〓15先行上映）「ウォンテ...</summary>
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   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://yamaguchi-takuro.com/">
      <![CDATA[2008.9.12

<img alt="movie.wanted.jpg" src="http://yamaguchi-takuro.com/movie.wanted.jpg" width="360" height="203" />

9月20日より公開される（9/13～15先行上映）「<class ="text1"><a href="http://www.choose-your-destiny.jp/">ウォンテッド</a>」。


監督：ティムール・ベクマンベトフ　脚本：マーク・ミラー　出演：ジェームズ・マカヴォイ、アンジェリーナ・ジョリー、モーガン・フリーマン、テレンス・スタンプ、トーマス・クレッチマン、コモンほか　上映時間：110分　配給：2008アメリカ／東宝東和


上司にイジメられ、彼女に飽きられ……、うだつの上がらない生活に辟易していた若者ウェズリーは、ある日、目の前に表れた謎の女性フォックスから、自分の亡き父が、闇の暗殺組織をけん引する敏腕暗殺者だった事実を知らされる。王位を継承するよう説得されたウェズリーは悩んだ末に……。]]>
      <![CDATA[


ウェズリーは筋肉隆々のタフガイでも、とびきりクレバーな美男子でもない。上司にイビられ、恋人ともうまくいかず、いつもビクビクしている、ちょいと冴えない弱腰男だ。そんな男が、闇の暗殺組織で猛特訓（まるでリンチ！）を受けて殺人者として鍛え上げられていくのだが、彼の生来の性質がヒーロータイプではないことがかえって観客に親しみを抱かせ、ダメ男の“起死回生を狙う人生博打”として期待をもたせる。


殺人者としての資質を開花させていくウェズリーには、おあつらえ向きなミッションが用意されるが、そこはミステリー仕立て、その道すがら二転三転のドラマが待ち受けている。なかでも、アンジェリーナ・ジョリーが演じるフォックスの英断を含めたクライマックスの駆け引きは、いかにもエンターテインメントらしい会心の展開。観客は安心してそのジェットコースターを楽しめばいい。


一方、スーパースローやスーパーマイクロ的なショットを多投した映像も見どころ。クルマや鉄道を使ったド派手なアクションから弾丸にフォーカスしたコンマ数秒の世界まで、全編に渡って使われたVFX（ビジュアル・エフェクツ）が、スクリーンに圧倒的なダイナミズムとテンションを与えている。


ただし、作品の要となる暗殺組織の描き込みはやや物足りない。というより、おそらく綿密に描かれているであろう原作の世界を、映画という枠内に置き換えきれなかった、と言うべきだろうか。肝心なウェズリーと父の関係についても、そこに密な結びつきが感じられなかったのが残念だ。


とはいえ、ひとりの弱腰男の成長物語として、あるいは、マンガ的なビジュアル効果をふんだんに用いたアクション・エンターテインメントとしてとらえれば、それなりに楽しめるのが本作「ウォンテッド」だ。“織物を用いた暗号”や“個性的な銃の撃ち方”といったトピックも実におもしろいし、ダークな社会を舞台にしながらも随所にユーモアあふれる演出を挟み込んでいる点からも、この映画が狙った方向性は推して知るべし、だ。


時間の経過とともに顔つきが精悍になっていく主人公を好演したジェームズ・マカヴォイはもとより、スクリーンに重厚さをもたらす名優モーガン・フリーマン、そしてセリフは少なめながら、そのセクシーな美貌とスタイルとアクションで存在感を放つアンジェリーナ・ジョリーなど、実績豊富なキャストによる安定感のある演技が、動きのある物語の屋台骨を支えている。凝ったビジュアルを楽しみつつ、テンポとメリハリのあるストーリーを楽しみたい方にオススメだ。


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   <title>「夢から醒めた夢」</title>
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   <published>2008-09-07T15:29:55Z</published>
   <updated>2008-09-07T22:17:41Z</updated>
   
   <summary>2008.9.7 劇団四季のミュージカル「夢から醒めた夢」を観劇。 原作：赤川次...</summary>
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   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://yamaguchi-takuro.com/">
      <![CDATA[2008.9.7

<img alt="musical.umekara.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/musical.umekara.JPG" width="231" height="320" />

劇団四季のミュージカル「<class ="text1"><a href="http://www.shiki.gr.jp/applause/yume/index.html">夢から醒めた夢</a>」を観劇。


原作：赤川次郎　台本：浅利慶太、奈良和江　演出：浅利慶太　作曲：三木たかし、宮川彬良　作詞：奈良和江、浅利慶太　振付：加藤敬二、謝珠栄


夢の配達人に誘われて夜の遊園地へやって来たピコは、そこで、交通事故死した少女の幽霊マコと出会う。悲しみに暮れる母を励ますために1日だけ自分と入れ替わってほしい、というマコの願いを聞き入れたピコは、マコから霊界行きのチケット（白いパスポート）を預かり、幽霊たちが集まる「霊界空港」へと向かうが……。]]>
      


1987年の初演以来、1000回以上の上演を重ねている「夢から醒めた夢」は、子供から大人まで楽しめるミュージカルだ。


主人公ピコの大冒険の柱は、幽霊のマコと1日だけ入れ替わるというもの。子供たちにとっては、興味シンシンな展開だろう。


霊界空港でくり広げられる人間（霊？）模様が見どころだ。生前に善良な行いをしてきた幽霊には白いパスポート、悪事を働いてきた幽霊には黒いパスポートが渡される。分かりやすく言えば、天国行きと地獄行きだ。とりわけ、飢餓や戦争で命を落とした子供たちのパスポートが一様に白いのが印象的だ。


そう、霊界のパスポートの色は、この世での“住い”や“地位”や“裕福さ”とはまったく無関係。あえて言うならば、基準は“心の美しさ”にあるようだ。


おもしろいのは、善人とも悪人ともつかない幽霊にグレーのパスポートが渡される点だ。グレーのパスポートは、のちに、その色が白に変化することもあれば黒に変化することもある。幽霊になってからも成長＆変化の余地を残すあたり、神様とやらも心憎い。


霊界空港でピコには思わぬ展開が待ち受けているが、ピコはその苦境を、周囲の幽霊たちに助けられながら乗り越える。なぜ、周囲の人たちがピコに手を差し伸べるのか、その答えはピコの人柄に隠されている。優しさや素直さが引き寄せる幸運の魔力。おそらくは子供たちも、そうした宇宙に存在する“因果応報”の法則を無意識のうちに感じ取ることだろう。


劇中で２度歌われる楽曲「二人の世界」は、心のふれ合いと夢に対する希望がつまった名曲だ。夢も互いに共有すれば、喜びは倍になる。そんなメッセージが心地よい。


唯一、苦言を呈したいのは、キャストである。この日は主演を含め、サブの方が多く出演していたが、その歌唱力は明らかに力量不足。これは本演目だけに言えることではないが、劇団四季は若手の人材が手薄だ。メインとサブの実力差があまりに激しすぎるのは、ゆゆしき問題だろう。


その件を脇におけば、ユーモアとシリアスを織り交ぜつつこの世とあの世を結んだ「夢から醒めた夢」は、良質のファンタージーだ。人生なんて一瞬の夢のようなものだから、せめて人生を輝かせたいと願う。「夢から醒めた夢」は、そんな気持ちを代弁してくれる。子供たちにもオススメである。
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   <title>「幸せの1ページ」</title>
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   <published>2008-09-04T23:31:58Z</published>
   <updated>2008-09-21T23:56:06Z</updated>
   
   <summary>2008.9.5 明日より公開される「幸せの1ページ」の試写。 監督・脚本：ジェ...</summary>
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         <category term="115■映画レビュー（鑑賞順）" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://yamaguchi-takuro.com/">
      <![CDATA[2008.9.5

<img alt="movie.shiawase1.jpg" src="http://yamaguchi-takuro.com/movie.shiawase1.jpg" width="340" height="227" />

明日より公開される「<class ="text1"><a href="http://shiawase1.jp/">幸せの1ページ</a>」の試写。


監督・脚本：ジェニファー・フラケット、マーク・レビン　原作：ウェンディ・オルー（「秘密の島のニム」）　製作・脚本：ポーラ・マズール　出演：ジョディ・フォスター、アビゲイル・ブレスリン、ジェラルド・バトラーほか　上映時間：96分　配給：2008米／角川映画


潔癖症＆外出恐怖症……等、メンタル面で問題を抱える女流作家アレクサンドラは、ふとしたことから、南の島の孤島で暮らす海洋生物学者ジャックの娘ニムとメールのやりとりをするようになった。ある日、アレクサンドラは、ニムからSOSのメールを受け取る。ことの重大さを憂慮したアレクサンドラは、ニムを救うために地球の裏側へ向かう決意をする……。]]>
      <![CDATA[


ジャンル分けするならば、子供向けの冒険ファンタジ・コメディといったところだろうか。


主要な登場人物は、ジャック、ニム、アレクサンドラの3人。3人はそれぞれ別々の苦難に直面する。ニムの父親ジャックは、船旅の途中で船が座礁。ニムは父の身を案じながら無人島で一人暮らし。そして、引きこもりの女流作家は、一念発起して未知の世界へと旅に出る！


3人のなかでも、とくに印象深いのはニムの物語だ。父の存命を信じながらの大奮闘。激しい嵐を耐えしのいだかと思えば、ある外敵（珍客）に対しては、クレバーかつ大がかりな作戦を計画→カラダを使って実行。いつ折れてもおかしくない彼女の心を支えているのは、タフで勇敢な父と、大好きな冒険小説に出てくる主人公アレックス・ローバーの存在だ。信じる力のなんと尊いことよ。ヘコたれるどころか、日増しにタフになっていくニムに共感し、勇気をもらう子供たちも少なくないだろう。


そんなニムをサポートするのが、島の動物たちだ。トドにトカゲにペリカン……。ニムがそうした動物たちと以心伝心、気持ちを通わせる姿が、観る者をなごませる。と同時に、人間の手が入っていない無人島で、お手製のツリーハウスに住み（ターザンロープが楽しい！）、大自然のなかを走り回るニムには、うらやましささえ感じる。


一方、ニムとは異質の頑張りを見せるのが、ジョディ・フォスター演じる女流作家だ。神経症的な彼女が旅の途中でくり広げるドタバタ劇は、滑稽を通り越して痛々しいほどだ。本作はその痛々しさをユーモアに変換しようと試みているが、コメディのセンスは凡庸そのもの。しかも、彼女の臆病さを引っ張りすぎているため、後半は胸焼けを感じる。この手のキャラクターであれば、どこかで大胆に舵を切って“脱・神経症”を演出してあげてもよかったように思う。


ジョディ・フォスターのコメデエンヌぶりは新鮮だが、コメディの枠にムリヤリ押し込まれた感があるうえ、ひいき目に見ても、やはりハマリ役とはいえない。一方、注目の子役アビゲイル・ブレスリンは、寂しさを押し殺してたくましく生きる少女ニム役を巧みに演じている。


ちなみに、時折、女流作家の前に現われる冒険家アレックス・ローバーは、実は彼女が執筆する冒険小説に出てくる主人公だ。自分が生み出した空想上のヒーローからアドバイス（お小言？）を受けながら旅をするという演出は、いかにも映画的で楽しめる（このヒーローを演じるのは、ニムの父親役と一人二役となるジェラルド・バトラー）。


心を揺さぶるヒューマンドラマや、抱腹絶倒のコメディとして期待しすぎると、いろいろとアラの目立つ作品だが、大自然のなかで、一人の少女が成長していく冒険ファンタージーとしてとらえれば及第点か。少なくともアスファルトで固められた社会に生きる子供たちにとっては、世界に対する視野を広げてくれる作品といえそうだ。


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<center><b><b>お気に入り点数：60点／100点満点中
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   <title>シルク・ドゥ・ソレイユ「ZED（ゼッド）」</title>
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   <published>2008-09-01T00:43:31Z</published>
   <updated>2008-09-01T12:59:08Z</updated>
   
   <summary>2008.9.1 2008年10月に東京ディズニーリゾート内（ディズニー・アンバ...</summary>
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      <![CDATA[2008.9.1

<img alt="CIRQUE.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/CIRQUE.JPG" width="320" height="240" />

2008年10月に東京ディズニーリゾート内（ディズニー・アンバサダー・ホテルの隣接地）にグランドオープンするカナダ発のパフォーマンス集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」の専用劇場「シルク・ドゥ・ソレイユ シアター東京」にて、注目のレジデントショー「ZED（ゼッド）」のトライアウト（プレビュー）公演を観劇。


※<class ="text1"><a href="http://www.zed.co.jp/">シルク・ドゥ・ソレイユ シアター東京「ZED」</a>


人間の肉体および運動能力の極限を見せつける究極のショーが、「シルク・ドゥ・ソレイユ」の演目「ZED（ゼッド）」。シルク・ドゥ・ソレイユを観劇するのは、00年に日本公演が行われた「サルティンバンコ」に続き2度目だ。]]>
      


「サルティンバンコ」は、ストーリーと視覚的な美的さを重視した作品だった記憶があるが、このたびスタートする「ゼッド」は、最初から最後まで興奮＆感動が持続するスリリングかつエキサイティングなアクロバティックショーだ。専用劇場ならではのアドバンテージをいかした壮大なパフォーマンスの数々は、観客をひとときたりとも飽きさせない。


世界各国から選りすぐられた国際色豊かな約70名のアーティストによって披露されるのは、バンジー、ラッソ（輪縄）、バンキン、ポール＆トランポリン、ハイワイヤー（綱渡り）、ハンド・トゥー・ハンド、フライング・トラピス（空中ブランコ）など。鍛え抜かれた一つひとつの肉体芸は、徹底的にその完成度が追求されており、視覚＆聴覚から飛び込んでくる刺激と驚きが、全身を貫通し、気がつけば感動に浸っている自分がいる。


19世紀の美学に彩られた創造性豊かな舞台セットはもとより、衣装や照明、生歌＆生音楽等など、パフォーマンスのテーマにピタリと寄り添う演出も秀逸で、観客に贅沢このうえない時間を与える。


「ゼッド」――これはもはや人間の肉体をモチーフに作り上げた無形芸術の至宝である。


日本でこのレベルのショーが見られる常設会場が作られたこと自体が画期的だ（日本でオリジナル作品をロングランする目的で建てられた劇場は、「歌舞伎座」「宝塚劇場」「四季劇場」くらいなもの）。ラスベガスあたりにまで行かないとお目にかかれない極上のパフォーマンスが、これから日本で観られるのだ。歴史的な一歩だ。


2000人を収容する専用劇場は、どの位置からでもパフォーマンスが楽しめるよう工夫が凝らされている。アーティストの肉体と汗と表情をまじまじと見ながら演目の興奮を味わいたいのであればステージ寄りがオススメだが、後方位置から大がかりな舞台セットを含めた演目全体を眺めても、また違った醍醐味が味わえるだろう。


どうしてこんなことができるのか？　そんな驚きの連続が待ち受けている。より多くの方に、この衝撃と感動を味わってもらいたい。


現在行われているトライアウト公演でパフォーマンスの技術力と表現力を高めていき、10月2日からの本公演に備えるシルク・ドゥ・ソレイユの「ゼッド」。1年間で380公演をこなすという。
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   <title>「ハンコック」</title>
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   <id>tag:yamaguchi-takuro.com,2008://1.422</id>
   
   <published>2008-08-29T14:59:25Z</published>
   <updated>2008-09-01T13:01:02Z</updated>
   
   <summary>2008.8.29 明日公開される「ハンコック」を鑑賞。 監督：ピーター・バーグ...</summary>
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         <category term="115■映画レビュー（鑑賞順）" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://yamaguchi-takuro.com/">
      <![CDATA[2008.8.29

<img alt="movie.hancock.jpg" src="http://yamaguchi-takuro.com/movie.hancock.jpg" width="340" height="227" />

明日公開される「<class ="text1"><a href="http://www.sonypictures.jp/movies/hancock/">ハンコック</a>」を鑑賞。


監督：ピーター・バーグ　脚本：ビンセント・ノー、ビンス・ギリガン　製作：ウィル・スミス　出演：ウィル・スミス、シャーリーズ・セロン、ジェイソン・ベイトマンほか　上映時間：92分　配給：2008米／ソニー


ハンコックは超人的なパワーの持ち主。彼は人助けをするときでも、みずからのパワーを抑制することができず、街をズタボロにしてしまう。その“やりすぎ”が原因で街の人に嫌がられていたハンコックだったが、ある日、レイという宣伝マンから、好感度を上げるためのサポートをしたいとの申し出を受ける……。]]>
      <![CDATA[


最大の見どころは、人気のウィル・スミスが嫌われ者のヒーローを演じている点だろう。


主人公のハンコックは、ウィル・スミスが、「幸せのちから」（06年）や「アイ・アム・レジェンド」（07年）で披露してきた役柄とは異なり、酒好きで、ちょっぴり自堕落で、キレやすい——というアウトロー的存在。人の良さや正義感がにじみ出ていたこれまでの路線とは一転の趣だが、ウィル・スミスといえば、もともと役者よりラッパーとしてのキャリアが先。つまり、ダークでダーティな世界は、実はホームグラウンドだ。その証拠に、本作での彼の姿には、新しさと同時に、板についているなあ、と思わせるものがある。


物語はかなり大味なアクション・コメディだ。トンデモなく怪力なハンコックが、街の人々を助けながらも、あちらこちらで甚大な物的被害を与えるくだりは、映像的に見物だし、自分に向けて「クズ！」という言葉を吐いた人間に対して容赦なく制裁を加えるあたりも（映像的に）笑える。


こんなヤツいんのか！　素直にそこを楽しめばいい。


ただし、オスカー女優のシャーリーズ・セロンが扮するメアリー（レイの妻）が、ある話を始めたあたりから、物語に妙なシリアスさが混ざり、展開が急速に失速。しかも、その背景が思わせぶりなわりに説得力に乏しく、観客の気持ちを置いてきぼりにする。


その後は、前半の勢いが影を潜め、ハンコックが時折くり出すギャグも不発気味。ハンコックとメアリーがやり合うキッチンのシークエンスまでのテンションがなかなかだっただけに、そこから大きく舵を取ったこの展開には、ちょっぴりクエスチョン。好みの問題もあるかもしれないが、この展開に持ち込むのであれば、もう少し脚本と伏線に練り込みが必要だったと思う。


ただし、そんな微妙な展開も、ウィル・スミスとシャーリーズ・セロンという実力派のふたりが持ち前の演技力でカバー。もちろん、このトモデモなく怪力なハンコックというオリジナリティヒーローを生み出した点については、そのアイデアとチャレンジ精神に賞賛を送らねばなるまい。


メガホンをとったのは、戦争や闘争のジレンマを深く掘り下げた秀作「キングダム／見えざる敵」（07年）のピーター・バーグ監督。前作とはまたずいぶん毛色の異なる作品に挑んだものだが（アクションという類似点はある）、本作「ハンコック」には、前作ほど心に広がる残留物が少なかったのが残念だ。


<center><b><b>お気に入り点数：60点／100点満点中
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   <title>「ダークナイト」</title>
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   <published>2008-08-24T23:17:33Z</published>
   <updated>2008-09-02T17:16:58Z</updated>
   
   <summary>2008.8.25 公開中の「ダークナイト」を鑑賞。 監督・脚本：クリストファー...</summary>
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         <category term="190■オススメ作品（80点以上）" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
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      <![CDATA[2008.8.25

<img alt="movie.darkknight.jpg" src="http://yamaguchi-takuro.com/movie.darkknight.jpg" width="340" height="227" />

公開中の「<class ="text1"><a href="http://wwws.warnerbros.co.jp/thedarkknight/">ダークナイト</a>」を鑑賞。


監督・脚本：クリストファー・ノーラン　出演：クリスチャン・ベール、ヒース・レジャー、マイケル・ケイン、アーロン・エッカート、マギー・ギレンホール、ゲーリー・オールドマン、モーガン・フリーマンほか　上映時間：152分　配給：2008米／ワーナー


ゴッサム・シティに巣くう犯罪集団の撲滅に執念を燃やすバットマン（昼の顏は巨大会社会長のブルース・ウェイン）。警部補と地方検事の協力を得て犯罪集団の摘発に成功したバットマンに対して、狂気の沙汰と化した凶悪犯罪者ジョーカーが宣戦布告。ゴッサム・シティは未曾有の混乱に陥る……。]]>
      <![CDATA[


ティム・バートンがメガホンをとった「バットマン」（89年）から16年、それまでのバットマンシリーズとは一線を画すトーンでバットマンの知られざる生い立ちを描いたクリストファー・ノーラン監督作品の「バットマン ビギンズ」（05年）は、「メメント」や「インソムニア」で見せつけたノーラン監督らしい鋭い人間描写が光る、まさしく新生バットマンの幕開けといえた。


あれから3年、ノーラン監督が再び作り上げた本作「ダークナイト」は、「バットマン ビギンズ」で構築した新たな世界を舞台に、よく練られたエピソードを満載した傑作だ。


スピード感あふれる展開、緻密に編み込まれたプロット、息を飲むカーチェイス＆アクション、観客を感情移入へと誘う人物描写……どこをとってもピカイチだ。


物悲しいバットマンの生い立ちを描いた「バットマン ビギーンズ」が作られたことにより、主人公のブルースは観客にとってより身近なものになったが、本作では、そんな彼がバットマンとして活動するなかで新たに背負うことになったジレンマを色濃く浮き上がらせている。


しかも、展開がヒーロー映画のお約束にとどまっていない。とくに、正義を自負するバットマンを必要以上に輝かすことなく、逆に、バットマンに対して、その存在意義を問うた点は大胆なチャレンジだったといえよう。


バットマンが行動したことにより、いくつもの罪なき人の命が奪われた——。


その事実が、バットマン自身を苦しめる。そう、この作品は「事態を悪化させているのはバットマン、あなたのせいではないですか？」というニュアンスを多分に含んでおり、バットマン自身の“倒錯”や“おごり”に疑問を投げかけているのである。とりわけ、執事がブルースにする助言には、咀嚼するに値する説得力を感じた。


そもそもバットマンは、完全無欠のヒーロではない。むしろ、行き場のない悲観をアクティブな行動に変換することで、精神のバランスを図ってきた感がある。そんな人間くさい男に、あえて疑問を投げかけることにより、本作「ダークナイト」は、ヒーロー映画にありがちな勧善懲悪と、それに伴う分かりやすい着地点を回避している。


主人公のみならず、周辺人物の描き込みもお見事だ。過去に深い傷を持つ超破壊的快楽主義者ジョーカーをはじめ、バットマンの理解者である執事や、同じく理解者である自身の会社社長（バットスーツやバットモービルの開発者）、ブルースが思いを寄せる女友達と、その女友達の現在の恋人である敏腕検事……。一人ひとりは、決してバットマンの引き立て役ではなく、それぞれが希望や悩みを抱える人間として力強い筆圧で描かれているため、各人のドラマとしても十分に楽しめるのだ。


なかでも、正義感に燃える敏腕検事のデントが、ある事件をキッカケに、それまでとは180度反対の人間へと変貌したくだりには、バットマンやジョーカーに通じる物悲しさがあり、と同時に、人間という生き物のどうしようもない弱さを浮き彫りにする。行動の方向性こそ違えど、ブルース、ジョーカー、デント……彼らの行動の引き金になっているものが一様に、彼らがそれぞれに負った傷であることに皮肉を感じないわけにはいかない。


主演のクリスチャン・ベールは、葛藤するヒーロという難しい役どころを、前作以上に深みのあるクールな演技で乗り越えている。そして、ジョーカーを演じたヒース・レジャー（故人）は、初代ジョーカーのジャック・ニコルソンとはまた種類の異なる凶暴さと狂気をふりまく怪演を披露。マイケル・ケインやモーガン・フリーマンら脇を固める陣容も豪華にして重厚という贅沢さだ。


初見でも十分に楽しめると思うが、できれば、前作「バットマン ビギンズ」を鑑賞してから劇場に足を運ぶことをオススメしたい。


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   <title>コンサート／ イタリア・オペラ 名曲アリア・コンサート@サントリーホール</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://yamaguchi-takuro.com/200/230/post_265.html" />
   <id>tag:yamaguchi-takuro.com,2008://1.415</id>
   
   <published>2008-08-23T14:59:46Z</published>
   <updated>2008-08-24T04:52:24Z</updated>
   
   <summary>2008.8.23 第44回日伊声楽コンコルソ入賞者披露記念「イタリア・オペラ ...</summary>
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         <category term="230■音楽" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://yamaguchi-takuro.com/">
      <![CDATA[2008.8.23

<img alt="08.8.23.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.8.23.JPG" width="240" height="320" />

第44回日伊声楽コンコルソ入賞者披露記念「イタリア・オペラ 名曲アリア・コンサート」を鑑賞。オペラ界の登竜門「日伊声楽コンコルソ」入賞者の3人——大澤一彰さん（テノール）、岸七美子さん（ソプラノ）、小川里美さん（ソプラノ）——に加え、国際的プリマの木下美穂子さん（ソプラノ）と、日本が世界に誇るスーパー・テナー、福井敬さん（テノール）が出演。菊池彦典が指揮する読売日本交響楽団のフルーオーケストラをバックに、美声を響かせた。]]>
      


残念だったのは、福井さんの声の調子が思わしくなく、最後に予定されていた木下さんとのデュエット「すでに夜も更けて」（ヴェルディ「オテロ」より）が取りやめになったこと。その直前に歌った「誰も寝てはならぬ」（プッチーニ「トゥーランドット」より）のときから声に伸びがなく、かすれ気味の声でやや音程を外すような場面があり、あれっ？　と思っていたが、どうやら体調不良を押しての出演だったようだ。


「日伊声楽コンコルソ」入賞者の3人は、いずれも堂々としていてすばらしかった。とくに大澤さんの風格ある歌いっぷりには引き込まれた。そして、小川さんは美声と美貌を兼ね備えて実に華麗な雰囲気を作り上げていた。抑揚のある読売日本交響楽団の演奏にも感動した。


しかし、サントリーホールの音響ってスゴイや。


【出演者】
木下美穂子（ソプラノ）
福井敬（テノール）
大澤一彰（第44回日伊声楽コンソルソ第1位）
岸七美子（第44回日伊声楽コンソルソ第2位）
小川里美（第44回日伊声楽コンソルソ第3位）


【指揮】
菊池彦典


【管弦楽】
読売日本交響楽団


【主なプログラム】　
ヴェルディ：「トロヴァトーレ」より“おだやかな夜”（小川里美）
マスカーニ：「イリス」より“私は怖い夢を見た”（岸七美子）
ベッリーニ：「清教徒」より“いとしい乙女よ、貴女に愛を”（大澤一彰）
ドニゼッティ：「連隊の娘」より“友よ、なんて楽しい日だろう”（大澤一彰）

ヴェルディ：「ルイザ・ミラー」より“むごいことよ、ああ神様”（木下美穂子）
ジョルダーノ：「アンドレア・シェニエ」より“ある日青空を眺めて”（福井敬）
プッチーニ：「トゥーランドット」より“お聞きください”（福井敬）
プッチーニ：「トゥーランドット」より“誰も寝てはならぬ”（福井敬）
ヴェルディ：「椿姫」より“乾杯の歌”（福井氏を除く全員）
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   <title>「南十字星」</title>
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   <id>tag:yamaguchi-takuro.com,2008://1.414</id>
   
   <published>2008-08-19T15:22:04Z</published>
   <updated>2008-08-19T16:56:37Z</updated>
   
   <summary>2008.8.20 劇団四季のミュージカル「南十字星」を観劇。 企画・構成・演出...</summary>
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         <category term="225■舞台" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://yamaguchi-takuro.com/">
      <![CDATA[2008.8.20

<img alt="musical.minami.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/musical.minami.JPG" width="240" height="320" />


劇団四季のミュージカル「<class ="text1"><a href="http://www.shiki.gr.jp/applause/minami/">南十字星</a>」を観劇。


企画・構成・演出：浅利慶太　台本：劇団四季文芸部、浅利慶太、田中浩一、藤川和彦、前田貞一郎、湯川裕光　作詞：浅利慶太　作曲：三木たかし　振付：加藤敬二　美術：土屋茂昭　照明：沢田祐二　衣裳：小林巨和　音楽監督：鎮守めぐみ　編曲：寺嶋民哉、山下康介、宮野幸子　ガムラン音楽製作：和田　啓


浅利慶太（企画・構成・演出）が書き下ろした「昭和の歴史三部作」の第三作。　※第一作の「李香蘭」のレビューは<class ="text1"><a href="http://yamaguchi-takuro.com/200/225/post_239.html">コチラ</a>。第二作の「異国の丘」のレビューは<class ="text1"><a href="http://yamaguchi-takuro.com/200/225/post_248.html">コチラ。</a>


太平洋戦争開戦前夜。京大生の保科は、祖国に帰ることになったインドネシア人の恋人ニナと再会を約束して別れる。その後、太平洋戦争が開戦すると、オランダ領のジャワ、スマトラを日本軍が占領。従軍していた保科は、現地でニナと再会を果たすが……。]]>
      


「李香蘭」や「異国の丘」同様、戦争に対するスタンスは、本作でも一貫している。戦争の残酷性をストレートな描写でつづるでも、あるいは、ステレオタイプな視点で批判するでもなく、“戦争”というタチの悪い魔物が住み着いた時代のなかで翻弄される人々の姿を描くことにより、現代社会に重要なメッセージを発している。


インドネシアにおける日本軍の立場という、（知っていそうで知らない）知識を観劇者に分かりやすく伝えながら、クライマックスに向けた伏線は、さり気なく積み重ねられていく。そう、主人公が絞首刑台に送られるまでの伏線を。


自軍、敵軍（オランダ兵）、現地人（インドネシア人）に対して分け隔てなく接する主人公の保科。憎悪が渦巻く時代において、保科の正義感に基づいた思考と行動には目を見張る。がしかし、ちょっとした誤解が災いして、彼はBC級戦犯として捕らえられ、最後には絞首刑台へと送られるのだ。


万人に平等を貫いた保科の死は、戦争が作り上げた“不条理”の象徴のようでもある。にもかかわらず、保科自身は、その絞首刑を“日本の未来のため”と甘んじて受け入れる。


実は、そんな彼に死を決意させたのは、先に絞首刑台に送られた島村中将の言葉であった。島村は、戦犯裁判そのものに疑問を抱く保科に、“自分が死ねば、敵の報復心を和らげることができる。ひいてはそれが日本のためとなる”と覚悟を語ったのだ。保科はおそらく、その言葉を自分の身にも置き換えたのだろう。


BC級戦犯を含めて1000人以上の人間が処刑された戦犯裁判の事実には、改めて考えさせられるものがある。彼らを絞首刑台へと送り込んだものは何だったのだろうか？　もちろん、なかにはやむを得ない人もいただろう。しかし一方では、冤罪も少なくなかったと歴史は伝える。そもそも戦犯を裁く基準とはどういうものなのか？　答えのない堂々巡りの自問自答は、観劇後もそう簡単には消えない。


無条件降伏した日本が、戦犯裁判に異議申し立てをすることはできなかった。たとえそれが不公平かつ不公正なものであれ——。それは、敗戦国に突きつけられた紛れもない事実だ。そして、その紛れもない事実が、銃声の音すら知らない現代社会に、真の“平和”の意味を投げかける。


祖国の土地も踏めず、愛する人とも結ばれず、この世に別れを告げた保科。彼と似た運命をたどった多くの戦犯。そんな彼らの屍が現代社会の礎になっていることに、改めて言いようのない感慨を得る。


ステージ上に本物の水を貯めて水田を表現した舞台美術や、異国情緒あふれるマレーシアの伝統芸能の再現など、視覚的な見どころが充実しているうえ、保科とリナを演じたキャストの安定した歌唱も魅力十分。“戦時”という背景を従えつつ、ひとりの青年の実直で勇敢な生き方を描いた本作「南十字星」は、重要なワンテーマを、色濃く、太く、描いた秀作といえよう。


派手なエンターテインメントを求める方には、オススメできない作品である。
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   <title>「崖の上のポニョ」</title>
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   <published>2008-08-13T14:38:30Z</published>
   <updated>2008-08-26T12:20:49Z</updated>
   
   <summary>2008.8.13 公開中の「崖の上のポニョ」を鑑賞。 監督・原作・脚本：宮崎駿...</summary>
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      <![CDATA[2008.8.13

<img alt="movie.ponyo.jpg" src="http://yamaguchi-takuro.com/movie.ponyo.jpg" width="360" height="194" />

公開中の「<class ="text1"><a href="http://www.ghibli.jp/ponyo/">崖の上のポニョ</a>」を鑑賞。


監督・原作・脚本：宮崎駿　プロデューサ：鈴木敏夫　音楽：久石譲　主題歌：藤岡藤巻と大橋のぞみ　声優：山口智子、長嶋一茂、天海祐希、所ジョージ、奈良柚莉愛、土井洋輝、矢野顕子、吉行和子、奈良岡朋子ほか　配給：2008日／東宝　上映時間：101分


舞台は海辺に面した小さな町。崖の上に建つ家で両親と暮らす5歳の宗介。ある日彼は、海に棲む魚の子ポニョと出会う。一度は離れ離れになったふたりだったが、ある嵐の日に劇的な再会を遂げる……。]]>
      <![CDATA[


魚のポニョと少年宗介の信頼と愛情の物語だ。偶然出会ったポニョと宗介。はじめに彼らが過ごした時間は、わずか半日程度。がしかし、ふたりにとってその半日は、心と心をつなぐに十分な時間であった。


後日訪れるふたりの再会シーンは、彼らの信頼関係の強さを如実に表している。ふたりのあいだには、親友同士の信頼や肉親の愛情をも凌駕する——いわば、磁石のプラスとマイナスのような——強い結びつきがあるかのようだ。


その後ふたりに用意される小さな冒険のなかで、幼いポニョと宗介が、自分のことよりもまず先に、相手のことを考えながら行動を共にするくだりは、観客の心に平和のあかりを灯す。愛を貫くには、優しさだけではなく、必ず自己犠牲を伴う勇気が必要となる。それは宮崎映画に一貫して描かれてきたことでもある。


彼らが示す見返りを求めない愛情。終始、その濃度を希釈しなかった点は、特筆大書すべきだろう。そのあまりに打算のない清廉さは、世間擦れした大人にはまぶしいくらいだが、まぶしいがゆえに、ハっとさせられることも多い。


そんな「崖の上のポニョ」だが、そのプロットは、実は単純な平面構造ではなく、宮崎映画ならではの特殊な立体構造になっている。


生命体よろしく躍動する海、その海に棲むさまざまな生き物、水没する街、ポニョの両親（元人間と思われる父親と、慈悲深い守り神のような母親の関係）、車いすの老人たちの若返り、無謀な行動を取る宗介の母、姿カタチが随時変化するポニョ……。一つひとつの設定やシーンに込められた意味やメッセージを読み取る楽しみを、観る者に残しているのだ。


希望だけではなく、悲観や絶望ともとれるエッセンスも内包している。とりわけ人間の手に負えないモノ——たとえば、自然や死や神——に対する畏怖にも似た感覚が非常に先鋭的だ。それらは、ポニョと宗介が紡ぐ希望の対極にあるもののようでもあり、突きつめた場合、同極にあるもののようでもある。宮崎監督の紡ぐ世界は、いつでも表面的な違いを示すにとどまらない。


宮崎駿監督が指揮した前作「ハウルの動く城」も、宮崎流の意味やメッセージが多彩にちりばめられた作品であったが、主たる物語で奇をてらいすぎたことにより、万人に受け入れられなかったように思う。


一方、「崖の上のポニョ」は、主たる物語を分かりやすく整備することにより、万人が楽しめるエンターテインメントとしての体裁をキープ。そのうえで、物語の背後のそこかしこに、宮崎監督が敬愛するモノに対するオマージュを含め、映画好きや宮崎ファンの期待を裏切らない深みを忍ばせているのだ。


宮崎映画に“解読”は必須だが、本作もそのご多分にもれていない。宮崎駿のスピリットは、世界中の人の解読の対象となり、議論の俎上に載せられ、ときに絶賛を浴び、ときに批判の矢面に立つ。そもそも“面白かった”“つまらなかった”で終わらせられる作家ではないのだ、宮崎駿という芸術家は。


もちろん、これまでに数々の傑作の生み出してきた監督だけに、厳しい基準で評価される宿命にはあるが（過去の作品と比較されやすい）、それは、すなわち、宮崎映画が残してきた功績の裏返しにほかならない。そしてまた本作「崖の上のポニョ」は、そうした厳しい基準の評価に絶えうるにだけの底力と得体の知れなさを併せ持った作品のように思う。


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   <title>旅行 ＠鹿児島・宮崎</title>
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   <published>2008-08-10T14:59:28Z</published>
   <updated>2008-08-12T16:59:52Z</updated>
   
   <summary>2008.8.6〜10 娘や父母、甥っ子たちと鹿児島へ。4泊5日の小旅行だ。鹿児...</summary>
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         <category term="207■旅" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
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      <![CDATA[2008.8.6〜10

娘や父母、甥っ子たちと鹿児島へ。4泊5日の小旅行だ。鹿児島は私の両親の故郷であり（私は生まれただけで、育ちは神奈川県の相模原）、小さいころは、毎年、夏休みの大半を鹿児島で過ごしていた（寝台列車の旅も楽しかったなあ……）。大人になってからは行く機会がめっきり減り、今回は実に6年ぶりの訪薩。94歳の祖母に会うことと、お墓参り、それに親族への顔見せが目的だ。

■6日
<img alt="08.8.6.1.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.8.6.1.JPG" width="225" height="169" /><img alt="08.8.6.2.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.8.6.2.JPG" width="225" height="169" />

【左】JALで鹿児島へ。空港から市内へのバスの車中から。パーキングの標識は「桜島」。
【右】初日滞在するホテルのロビーには、芋焼酎がズラ〜リとディスプレイ。

]]>
      <![CDATA[<img alt="08.8.6.3.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.8.6.3.JPG" width="225" height="169" /><img alt="08.8.6.4.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.8.6.4.JPG" width="225" height="169" />

【左】夕方、天文館にくり出すや「ズームイン朝」のインタビューを受けるわが父と娘（笑）。
【右】夜はさつま＆黒豚料理の専門店「吉兆・みしま村」で、さつま料理と芋焼酎を堪能。


■7日
<img alt="08.8.7.1.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.8.7.1.JPG" width="225" height="169" /><img alt="08.8.7.2.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.8.7.2.JPG" width="225" height="169" />

【左】 西郷隆盛、大久保利通、村田新八、大山巌、東郷平八郎、 黒田清隆など、多くの偉人を輩出した加治屋町にある「維新ふるさと館」で、日本の礎を築いた偉人たちにご挨拶。
【右】鹿児島県歴史資料館「黎明館」で3時間ほど鹿児島の歴史を勉強してから、ウォーターフロントにあるドルフィンポートで開催中の「篤姫館」。「黎明館」は素晴らしい資料館。丸1日かけて回る価値アリ。「篤姫館」は子供だましもいいところ。単なる番宣。


<img alt="08.8.7.3.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.8.7.3.JPG" width="169" height="225" /><img alt="08.8.7.4.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.8.7.4.JPG" width="225" height="169" />

【左右】夜は曽於市大隅町にある祖母（94歳！）の家へ。夜は叔母が経営するスナック「エンブレム」で芋焼酎。ちなみに、店内に飾られている絵は、私の兄上が書いたもの。


■8日
<img alt="08.8.8.1.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.8.8.1.JPG" width="225" height="169" /><img alt="08.8.8.2.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.8.8.2.JPG" width="225" height="169" />

【左】亡き祖父や叔母のお墓3カ所と、親族宅3カ所を訪問。6年もご無沙汰してしまった非礼を詫びる。でも、久しぶりにみんなの顔が見られて嬉しい。従姉妹の子供たちとは初対面。
【右】午後は志布志にある高松海水浴場へ。美しく穏やかな景観に引き込まれる。ここは楽園か？


<img alt="08.8.8.3.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.8.8.3.JPG" width="225" height="169" /><img alt="08.8.8.4.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.8.8.4.JPG" width="225" height="169" />

【左】大はしゃぎの甥っ子だったが、この後、巨大クラゲの攻撃を受け、大泣きするハメに…。
【右】夜は祖母宅で芋焼酎を飲みながら、北京オリンピックの開会式。


■9日
<img alt="08.8.9.1.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.8.9.1.JPG" width="169" height="225" /><img alt="08.8.9.2.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.8.9.2.JPG" width="169" height="225" />

【左】朝からクルマで宮崎に足をのばし、まずは、今や観光スポットになっている県庁の東国原知事にご挨拶。「（宮崎を）どげんかせんといかん！」とおっしゃってました。
【右】市内にある平和台公園を訪れる。昭和15年に紀元2600年（神武暦）を記念して建てられた平和の塔は高さ37m。当時の日本彫刻界の第一人者、日名子実三が設計を担当。「八紘一宇」の文字が歴史を物語る。


<img alt="08.8.9.3JPG.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.8.9.3JPG.JPG" width="225" height="169" /><img alt="08.8.9.4.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.8.9.4.JPG" width="169" height="225" />

【左】平和台公園内にある「はにわ園」は、木々と苔とはにわが織りなす神秘的な空間。出土の詳細が示されてないなあ……と思ったら、約400基のはにわは、宮崎市内に住む本部マサさんが製作した複製品とのこと。それはそれで素晴らしい偉業。
【右】夜は鹿児島に戻り、大隅町の「おおすみ弥五郎伝説の里」で「ふるさと大隅夏祭り」。迫力満点の弥五郎太鼓に酔いしれたのち、2000発の打ち上げ花火を堪能。


■10日
<img alt="08.8.10.1.JPG" src="http://yamaguchi-takuro.com/08.8.10.1.JPG" width="225" height="169" />

帰京する前に、94歳の祖母を囲んで写真撮影。娘や甥っ子たちにとっては、ひいおばあちゃん。あと6年、目指せ100歳！]]>
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