山口拓朗公式サイト

No.5「ヒー・セッド、シー・セッド」

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 銀幕をさまよう名言集!  No.5  2008. 1. 24発行 
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1991年/アメリカ 
「ヒー・セッド、シー・セッド 彼の言い分、彼女の言い分 」より
同一番組のキャスターで私生活では恋人同士の男女。
生放送中に口論となり、女は本番中に飛び出して行ってしまう。
男と女はそれぞれに、ふたりの過去を回想する……。
見ごたえのあるロマンティックコメディだ。
言葉のやりとりがおもしろいうえに、
映画的にもよくできている。
にもかかわらず、劇場公開されなかったという摩訶不思議な1本だ。
特筆すべきは、
男の言い分(ヒー・セッド)を男性監督が撮り、
女の言い分(シー・セッド)を女性監督が撮るという
画期的な手法がとられている点と、
なおかつ、その手法がピタっとハマっている点だ。
前半の1時間は男視点、後半の1時間は女視点。
同一シーンのくり返しにもかかわらず、
会話を含めた内容が微妙に(ときに大胆に)異なるのだ。
つまり、その差異で、男女の言い分の違いを表現しているのである。
男は女のことをこう思っている。
“結婚という型に固執し、ムリばかり押し付けてくるヤツ”。
女は男のことをこう思っている。
“結婚する勇気もない優柔不断なプレイボーイ気取り” 。
ふたりの共通点といえば、
お互いに、不仲の原因が相手にある、と考えている点くらいなものだ。
さて、女の言い分を表現したシーンのなかで、
女が男にこんなことを言う。
     「ねえ、愛してるわ」
     (ドキっとする男)
     「違うの、同じ言葉が欲しくて…… 言ったんじゃないのよ」
     (男は黙りこくったまま)
     「ただ正直に感情を表現したいだけ……」
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      表現しなければ——感情は無意味よ   
     (男はそれでも黙りこくったまま)               
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この言葉は、実に興味深い。
この断定的な言葉を言い換えれば、
「感情は言葉にしなければ、感情とは言えません」となる。
同意する人、同意しない人さまざまだろう。
だが思うに、同意する人の多くは女性で、
同意しない人の多くは男性ではないだろうか?
つまり、女の言ったこの言葉は、
かなり普遍的なレベルで、
男女の食い違いを言い表しているのである。
女性はよくこんなことを言う。
「言ってくれなきゃ分からないわ!」
男性はよくこんなことを言う。
「言わなくても分かるだろ!」
違うだろうか?
それは、どちらが“いい悪い” “正しい正しくない”ではなく、
単純に、女性は感情に従順な生き物であり、
男性は感情をコントロールする生き物であるという、
そういうことではないだろうか(あくまでも私見だが)。
おそらく、先ほどの
      表現しなければ——感情は無意味よ  
という言葉を受けたシーンで、男が思ったことは、こうだ。
「表現しなくても、感情は感情さ」
それは、この男の個人的意見というよりは、
普遍的なレベルで言うところの、男性の意見という気がする。
何を言わんや——
男女間の食い違いのひとつには、
男が女の根本的な性質を知らなすぎて、
あるいは、女が男の根本的な性質を知らなすぎて、
起きるものが、少なくないのではないか、ということだ。
逆を言えば、男女がお互いの根本的な性質を知ることで、
解消されるトラブルも、少なくないということだ。
もしも「言ってくれなきゃ分からないわ!」と彼女が言うなら、
彼氏は、彼女のために言ってあげる努力をしたらいい。
もしも「言わなくても分かるだろ!」と彼氏が言うなら、
彼女は、彼の気持ちを察する努力をしてあげたらいい。
なぜならそれは、個人的な性質に基づく食い違いではなく、
男女の根本的な性質に基づく食い違いなのだから。
どだい相いれないものであることさえ理解していれば、
不毛なケンカをする必要もなくなる。
もちろん、そんな理屈だけで、
すべての男女のトラブルが収束するわけではないが……(涙)
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●編集後記             
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「ヒー・セッド、シー・セッド 彼の言い分、彼女の言い分 」は、
ひとつの事実でも、立場によってこれほど見方が違うものか、と、
ハっとされられる映画です。
男に共感する人、女に共感する人、どちらもいるでしょう。
ケビン・ベーコン、エリザベス・パーキンスの好演に加え、
シャロン・ストーンの脇役も光っています。
なにゆえ劇場公開されなかったのか、まったく不思議です。
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■銀幕をさまよう名言集! No. 5「ヒー・セッド、シー・セッド」
 
マガジンID:0000255028
発行者  :山口拓朗
●公式サイト「フリーライター・山口拓朗の音吐朗々NOTE」
http://yamaguchi-takuro.com/
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