山口拓朗公式サイト

No.18「プロヴァンスの贈りもの」

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 銀幕をさまよう名言集!  No.18  2008.4.21発行 
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2006年/アメリカ 「プロヴァンスの贈りもの」より
ロンドンで豪腕トレーダーとして財を築く主人公マックスのもとに、
南仏プロヴァンスに住むヘンリーおじさんの訃報が届く。
マックスは、もっとも近い近親者として、
ヘンリーおじさんのシャトー(ワインを醸造・貯蔵する建物のあるブドウ園)
を相続することになったが、
相続したシャトーをさっそく売り払って、金に換えようと考える……。
ところが、シャトーには、長年ワインを造っている使用人のデュフロがいた。
マックスがシャトーを売り払えば、
デュフロはここでワインを造ることができなくなってしまう。
デュフロ:「ブドウ園を売るというのはホントか?」
マックス:「地獄耳だな」
デュフロ:「俺のブドウ園を奪うな」
マックス:「俺のブドウ園だ」
デュフロ:「俺が一緒に呼吸して手塩にかけたブドウだ」
マックス:「土地は売るが、それなりの迷惑料は払うよ」
その言葉を聞いてデュフロは言う——
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     「金よりも大切なものがあるのを知っているか?」             
    
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デュフロは続ける。
     「気まぐれな自然を相手に昼も夜も働いてきた。
      残る人生もこの体と魂を大地に捧げるつもりだ。   
      それでも俺の生きがいを奪い取るのか?」
マックス:「そうだ」
デュフロの悲壮な気持ちが伝わってくるシーンだ。
一方、マックスの非情な人間性も垣間見られる。
なるほど、金融界の容赦ない競争社会のなかで、
多くのライバルを蹴落としてきたマックスに、
デュフロの気持ちが分かるはずはないのかもしれない。
      金よりも大切なものがあるのを知っているか?
きっと知らないのだ、マックスは。
なぜならマックスは、
「金=幸せ」と思い続けて生きてきたのだから。
それを唯一の目標としてきたし、真実だと思い込んでいる。
だから
      それなりの迷惑料は払うよ。
などと無神経なことが言えるのだ。
では、私たちはどうだろう?
      金よりも大切なものがあるのを知っているか?
このデュフロの問いかけに、
「ああ知ってるよ」と答える人、
「そんなものは知らないさ」と答える人、
どちらもいるだろう。
考え方は自由である。
でも、だ。
「そんなものは知らないさ」と答える人に、
ではあなたは幸せですか? と質問した場合。
「もちろん!」という答えが返ってくるかは疑問である。
少なくとも、この物語の主人公マックスは、
誰もがうらやむほどの財と名声を手にしているハズなのに、
なぜか幸せそうに見えない。
本人もそのことに気づいているようだ。
どうして自分の心は満たされていないのだろう? 
という心の渇きが、その表情に表れている。
金より大事なもの
たとえば——生きがい、家族、希望、友情、愛、感謝、健康……
少し考えれば、身の回りにいくらでもあるだろう。
勘違いしてはいけないことは、
それらは決してお金では買えない、ということだ。
もちろん、お金で回避できる不幸はあると思うから、
お金自体の価値を過小評価しようとは思わない。
ただし、お金があれば何でも買える、幸せになれる、というのは
おそらく幻想だろう。
生きがい、家族、希望、友情、愛、感謝、健康……、
それらは、お金で買うものではなく、
人間自身が生み出していくもののはずだから。
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●編集後記             
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「プロヴァンスの贈りもの」という作品では、
財と名声はあるけど、なぜか心が満たされない主人公マックスが、
郷愁あふれるプロヴァンスの空気と人に触れながら、
次第に自然体の自分を取り戻して行く姿が描かれています。
好き嫌いは分かれるかもしれませんが、
緊張した都会の生活に疲れ気味の方には、
この映画がもつピュアさが響くのではないでしょうか。
老人と少年の交流、ヴァカンス、テニス、チェス、ゴッホの絵、
緑のインク、ランス・アームストロング、プロヴァンス・ワイン……etc.
芳醇かつほほ笑ましいエッセンスをちりばめながら、
人間のやさしさと幸せの意味を味わわせてくれる秀作です。
監督はSFやアクションを得意とするリドリー・スコット。
150キロ台の直球が持ち味の投手が、
見ごと80キロ台のスローカーブで三振を取った感じでしょうか(笑)。
主演のラッセル・クロウや、恋のお相手役となるマリオン・コティヤール、
名子役フレディ・ハイモアらの味のある演技も見どころです。
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■銀幕をさまよう名言集! No.18「プロヴァンスの贈りもの」
マガジンID:0000255028
発行者  :山口拓朗
●公式サイト「フリーライター・山口拓朗の音吐朗々NOTE」
http://yamaguchi-takuro.com/
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