山口拓朗公式サイト

No.44「バタフライ・エフェクト」

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 銀幕をさまよう名言集!  No.44  2009.2.18発行 
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2003年/アメリカ 「バタフライ・エフェクト」より
時空を飛び越えるSF的な作品は、
そう珍しくはないが、
「バタフライ・エフェクト」は、
なかでも完成度に優れた作品だ。
スリリングでミステリアスで、
意外性に富んでいて、
それでいて哲学的な示唆を含んでいる。
ムダがなく、最初から最後まで
見る者をクギづけにする。
ネタバレの有無がすべての映画ではないが、
先入観なく見たほうが楽しめる作品だ。
※以下、多少のネタバレを含んでいます。
主人公のエヴァンは、
“自分の記憶を書き換えることができる”
という特殊な力をもっている。
記憶が書き換えられると、
その後の未来が変化するのだ。
エヴァンは、
自分の愛する女性や友人を守るために、
そしてまた自分の幸せのために、
過去の記憶を書き換えようとする。
あるとき、
少年時代の記憶にアクセスしたエヴァンは、
自分と同じ能力をもつ父に
次のように切り出した。
エヴァン:「答えて、やり直したいことがあるんだ」
   父:「お前も(記憶の書き換えが)できるのか?」
エヴァン:「そうだよ。だから正しい情報がほしい。
      パパから遺伝したんだ」
   父:「(その能力を)使ってはいかん!
      他人の人格を変えてしまうぞ」
エヴァン:「幸せになるんだよ」
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   父:「神様の真似をしてはいかん!」
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エヴァン:「……」
   父:「やめるんだ。ママを殺す恐れもある」
この作品の興味深いところは、
エヴァンがよかれと思って記憶を書き換えても、
その影響で、
必ず思いもよらぬ不幸が待ち受けていることだ。
その不幸は、
ときに愛する人に、
ときに友人に、
ときに自分自身にふりかかる。
何度記憶を書き換えても、
理想とする未来にたどり着くことができない。
父もおそらく同様の経験したことがあるのだろう、
     「神様の真似をしてはいかん!」
と息子のエヴァンに忠告する。
それでも神の真似をやめないエヴァンは、
いつしか負のスパイラルにはまる。
いや、正確には、
ある一面では、彼ののぞみも叶えられるのだが、
一方で、それ同等の不幸も招き入れてしまうのだ。
果たして彼に
どのような結末が待ち受けているのか——
それはDVDでご確認のほど。
それにしても。
改めて人間の歴史に目をやると、
人間は常に神の領域を目指してきたのだと気づく。
宇宙にロケットを飛ばし、
抗生物質でウイルスを撃退し、
整形手術で別人になり、
今やクローン人間でさえ作り出そうとしている!
でも、それは果たして
本当に神の領域なのだろうか?
答えは——NOだろう。
その証拠に、
それらの行為(神の真似のような行為)によって、
人間は大きな至福や利益を獲得してみせたが、
同時に、その行為の「不完全さ」によって、
支払うべき代償を支払わされてきた。
(今後支払わせられるものもあるだろう)
この映画の主人公のように。
物事には常にプラスとマイナスの面があり、
どちらか一方だけを都合良く得ることは
できないということだ。
もし、どちらか一方だけを
得ることができるようになったら、
それは、本当に神の領域に踏み込んだときかもしれない。
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●編集後記             
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本作「バタフライ・エフェクト」は、
本当によくできた映画ですので、
未見の方には、自信をもってオススメします。
時間軸の歪みは、ときに整合性のなさを誘発しますが、
そうした破綻をまったく感じさせない脚本です。
鑑賞者を飽きさせることがなく、
そして鑑賞後の味わいはとても深いです。
主人公を演じたのはアシュトン・カッチャーですが、
彼以上にキラリと光る演技を見せているのが、
主人公の子供時代を演じたローガン・ラーマンです。
未来の自分が乗り移ったときの、
彼の変貌ぶりには、恐ろしいほどの迫力があり、
見る者をドキドキさせます。
目ヂカラがあり、演技力があります。
ちなみに、バタフライ・エフェクトとは、
「北京で蝶が羽ばたくと、アメリカで嵐が起こる」
と表現された有名な「バタフライ効果」のこと。
カオス理論のひとつです。
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■銀幕をさまよう名言集! No.44「バタフライ・エフェクト」
マガジンID:0000255028
発行者  :山口拓朗
●公式サイト「フリーライター・山口拓朗の音吐朗々NOTE」
http://yamaguchi-takuro.com/
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