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No.46「幸せのちから」

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 銀幕をさまよう名言集!  No.46  2009.3.26発行 
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2006年/アメリカ 「幸せのちから」より
ホームレスから億万長者となった実在の人物、
クリス・ガードナーの半生を描いた作品。
ただし映画で描かれているのは、
ホームレス生活から抜け出すまでの、
どん底生活だ。
買い取り販売している医療機器が売れず、
生活が困窮。
妻が愛想を尽かして出て行った。
しばらくすると、
こんどは家賃が払えなくなり、
アパートを追い出された。
クリスは5歳の息子と路頭に迷う……。
クリスは、
未知の分野である
証券会社の正社員を目指そうとするが……。
ある日、クリスは息子と
バスケットボールをする。
息子が喜々としてドリブルをし、
シュートをうつ!
息子 :「(バスケットボールの)プロになる!」
クリス:「そうか。
     うん、どうだろうなお前は……。
     親子だからしょうがないが、
     パパはあまり(バスケットが)うまくなかった」
     だからお前も
     それほどたいした選手にはなれないと思うぞ。
     だから他のことで一流になれても、これはダメだ」
息子は「分かった」と言いながら、
ボールを投げ捨てる。
めいっぱいふて腐れた表情で。
息子の姿をクリスは見つめる。
そして、しばし思索にふけってから、
再び息子に言葉をかける。
クリス:「おい、何かをやるときに、
     ムリだなんて誰にも言わせるな。
     パパにもだ。
     いいな?」
息子 :「分かった」
クリスは続ける――
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    「夢があるなら、その夢を守れ。
     自分で何かをできないやつは、
     人にも『お前はできない』と言う。
     欲しいものは自分でつかめ。
     なんとしても」
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はじめクリスは、
    「お前もそれほどたいした選手にはなれないと思うぞ」
と息子に言った。
それは、
食いぶちすら見つからず、
路頭に迷うクリス自身の
いら立ちや腹立たしさが
言わせた言葉のように思えた。
案の定、
その否定的な言葉が、
息子を傷つけてしまう。
ふて腐れた息子の表情を見て、
クリスは、
はたと自分が犯した過ちに気づかされる。
自分自身がこれから未知の世界で
再起をはかろうとしているのに、
息子には「たいした選手にはなれないと思う」と、
リミッターをかけている。
その矛盾に打ちのめされたのだろう。
クリスは前言を撤回するかのように、
くだんの言葉を絞り出したのだ。
    「おい、何かをやるときに、
     ムリだなんて誰にも言わせるな。
     パパにもだ」
    「夢があるなら、その夢を守れ。
     自分で何かをできないやつは、
     人にも『お前はできない』と言う。
     欲しいものは自分でつかめ。
     なんとしても」
顔は息子のほうを向いているが、
おそらくそれは、
クリスが自分自身に向けた言葉でもあるのだろう。
わが身に言い聞かせるように。
わが身を奮い立たせるように。
夢があるなら、自分で限界を作るな。
他人にも限界を作らせるな。
自分自身でつかみ取れ。
シンプルで力強いメッセージだ。
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●編集後記             
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本作「幸せのちから」では、
息子に対するクリスのひたむきな愛が、
描かれています。
どんなに貧しくても、
「愛」が生きる理由や原動力になることを、
この映画は教えてくれます。
映画全体を10として、
通常のサクセスストーリーが、
「どん底4→助走3→飛躍3」程度の割合で進むとするなら、
本作は「どん底9、助走1」程度の割合でしょうか。
なかなか浮上しない生活。
「おいおい、クリス、お前大丈夫かよー」
と、ついスクリーンに向かって叫びたくなる
シーンも少なくありません。
でも、その一方で、
彼がいずれ成功する人物であることを、
におわす描写も随所にちりばめられています。
どん底のなかで、
クリスがただ漠然と生きていたわけではないことを、
その目でお確かめください。
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■銀幕をさまよう名言集! No.46「幸せのちから」
マガジンID:0000255028
発行者  :山口拓朗
●公式サイト「フリーライター・山口拓朗の音吐朗々NOTE」
http://yamaguchi-takuro.com/
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