山口拓朗公式サイト

「劇場版 どうぶつの森」

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2007.1.16
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公開中の映画「劇場版 どうぶつの森」を観賞。
ゲームキューブ、ニンテンドーDSで発売された国民的人気ゲームソフト「どうぶつの森」の映画化作品。
監督:志村錠児 声の出演:堀江由衣、福圓美里、折笠富美子、木村祐一、小栗旬、乙葉、金子貴俊ほか 上映時間:87分 配給: 2006年日/東宝
間もなく6歳の娘と一緒に観賞。


なぜかホッと安心する平面的な二次元アニメ。
どうぶつ村は、人間とどうぶつが仲良く暮らすふしぎな村。そこへある日、ひとりの女の子“あい”が引っ越してきた。右も左もわからないどうぶつ村で、“あい”はアルバイトをしながら、村のどうぶつたちと仲良くなっていく。ある夜、村の浜辺で“あい”は不思議な手紙の入ったボトルを拾う。ふたを開けるとそこには、「針葉樹を植えよ……雪祭りの夜に奇跡は起こる」という手紙が…。
作画の雰囲気からして幼稚園年長の娘にはピッタリかと思いきや、内容的には、小学生低学年くらいがターゲットのようであった。
主人公の“あい”が、一人暮らしやアルバイトするという設定からも想像がつくように、この物語は、子供の世界ではなく、いっぱしに大人社会を描いている。
村長、さすらいのミュージシャン、商店の店主、喫茶店のマスター、役場で働く姉妹、郵便屋さん……。一般社会と同じように、タイプの違うさまざまな職種の人(どうぶつだけど)が登場するのだが、職種同様、キャラクターも千差万別。なかには、以前恋仲だったが破局したというミステリアスな男女まで登場する。
親元を離れてどうぶつ村に引っ越してきた“あい”は、初めて体験する大人社会のなかで、さまざまな人々と交流し、もまれながら、少しずつ成長を遂げていく。
ごく普通の女の子の成長記録。かなりオーソドックスではあるが、子供向けの映画の主題としては、けっして悪くはない。
ただ、ひとつ気になったのが、この映画が、主人公の“あい”に与えた課題についてである。
親友になったサリー(彼女はデザイナー志望!)に感化された“あい”が、「自分にはいったい何ができるだろうか?」と考えはじめた矢先に、この映画は、「針葉樹を植えよ……雪祭りの夜に奇跡は起こる」という謎の手紙を登場させるのである。
そして、ごていねいにも“あい”は、この謎の手紙を額面通りに受け取り、せっせと村のあちらこちらに針葉樹を植え、その結果、ラストではある奇跡が待ち受けている——というストーリーになっている。
子供向けの映画なので、奇跡があるのも構わないし、夢やファンタジーも大歓迎である。
だが、ダレが書いたのかも分からない「針葉樹を植えよ……」という手紙を真に受けて、村に針葉樹を植える“あい”には、正直、あまり感情移入できなかった。
村中に針葉樹を植える作業がどれだけ大変だとしても、デザイナーを目指して必死に習作を描きまくるサリーとは、なにか努力の次元が違うような気がした。
それは、自分はこうなりたいんだ!という「具体的な目標」があるサリーと、なんとなく「奇跡を期待している」“あい”の違いといってもいいだろう。
つまり、針葉樹を植える動機が、あまりに浅はかすぎるということ。
せめて、主体性に基づく、具体的成果を目標とした動機づけがほしかった。予見不可能な奇跡のためではなく。
奇跡を期待して“あい”が、針葉樹を植える姿を、さもそれが尊い努力であるかのように描くことは、毎日宝くじを買うことを尊い努力といっているのと同じである。
ほのぼのと温かい空気感も含め、“あい”を取り巻く環境や登場人物のキャラクター設定もしっかりとお膳立てされており、勇気や友情、笑いなどをバランスよくちりばめているにもかかわらず、唯一、肝心なところで伝えるべきことをはき違えてしまっている「どうぶつの森」。
伝えるべきは、他力本願な奇跡ではなく、夢を実現させるための術(目標設定とプロセス)。そこではなかっただろうか?

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