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「ダーウィン・アワード」

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2007.12.2
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公開中の「ダーウィン・アワード」を観賞(試写にて)。
監督:フィン・タイラー 脚本:フィン・テイラー 撮影:ヒロ・ナリタ 音楽:デヴィッド・キティ 出演:ジョセフ・ファインズ、ウィノナ・ライダー、ジュリエット・ルイス、デヴィッド・アークエット、クリス・ペン 上映時間:95分 配給 : 2006アメリカ/プレシディオ
「ダーウィン賞」——その年、もっとも“バカげた行動で死に至り”、自らの劣悪な遺伝子を断つことによって、人類に貢献した人々に与えられる名誉ある(?)賞。実在するこの賞をテーマにした物語が本作「ダーウィン・アワード」である。


優秀なプロファイラーでありながら、血を見ると失神してしまう元サンフランシスコ市警殺人課所属のマイケル(ジョセフ・ファインズ)と、保険会社の女性調査員シリ(ウィノナ・ライダー)が、全米各地で起きた“ダーウィン賞”にまつわる案件を調査することになった……。果たしてダーウィン賞候補者には共通した素因があるのだろうか?
“自動販売機に突っ込んだ手が抜けなくなり、自動販売機が倒れてきて絶命した男”、“強化ガラスであることを証明しようとして窓ガラスに体当たりをして高層ビルから落下した男”、“愛車にロケットエンジンを搭載して650キロを記録するや、空中に飛び出して山に激突死した男”……等々、次々と起こるおバカな事件を挟みながら物語は進んで行く。
ひとつひとつのダーウィン賞的エピソードは、マンガ的なノリで演出されているので(リアリティは超微量)、気ラクな気分でヒトのおバカな行動を楽しむことができる。
一方、それらのエピソードを調査する男女ふたりの物語はというと——。
プロファイリング能力はあるが、こと自分のことになると弱気で堅物なマイケルが、パートナーの美人調査員シリにいさめられながら、なんとか一人前の男に成長して行くサマがあまりにベタすぎる。
しかしながら、どうにも憎めないキャラのこの男が、調査を重ねて行くうえで、自分がダーウィン賞に名を連ねかねない大バカ者であることに気づくくだりは、なかなかオツだ。最終的に導き出した結論が、データー的なものでなく、人間味あふれるモノであったことを含めて。
とはいえ、本作に対する評価は、かなり厳しくなる。
そもそも都市伝説や本作のようなおバカな話は、映像ではなく、文章で読むほうが、圧倒的におもしろい(自由に想像&妄想できるだけに…)。事実、本作では、映像ならではの“分かりやすさ”が、かえって期待感やワクワク感をスポイルしており、安っぽいはりぼてなイメージだけが強く残った。
一貫して、おバカな人間たちへの愛情が感じられるだけに、ほほえましい気持ちではいられるのだが……、それだけで、ぶっ飛んだブラックジョークを楽しみにきた客を満足させることはできない。
結局おもしろかったのは、チラシに書かれていたエピソードのあらましであって、映画のなかでは、それ以上のおもしろさを味わえないという、なんとも痛々しい作品なのだ、本作「ダーウィン・アワード」は。

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