山口拓朗公式サイト

「最高の人生の見つけ方」

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2008.5.29
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公開中の「最高の人生の見つけ方」を鑑賞。
監督・製作:ロブ・ライナー 脚本:ジャスティン・ザッカム 出演:ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマン、ショーン・ヘイズ、ロブ・モロー、ビバリー・トッドほか  上映時間:97分 配給:2007米/ワーナー
入院先の病院で相部屋となった実業家で大金持ちのエドワード(ジャック・ニコルソン)と自動車整備工のカーター(モーガン・フリーマン)。ふたりの共通点は、余命半年の末期ガンであること。ある日、エドワードは、カーターが死ぬ前にやっておきたいことをメモした“棺おけリスト”を見つけ、そのリストを実行しようとカーターに提案。ふたりは周囲の反対を押し切ってリスト実行の旅に出るが……


人は生まれながらにして死刑宣告を受けているようなものである。生まれてから1秒ずつ着実に死に近づいている。でも人間とは素晴らしい(あるいは愚かな)もので、自分の死期が未定というだけで、死に対する意識を薄めることができる特異な能力を備えている。
死への意識を薄めるということは、生に対する意識も当然薄まるということだ。もし私たち一人ひとりが、あらかじめ自分の人生に幕が下りる日を知っていたならば、人生との向き合い方は、間違いなく今とは違ったものになっているはずである。
それはさておき……。
この映画は死期を目前にしたふたりの老人の物語。すなわち、残された人生が限定された人間の物語である。
残された人生をどう生きるかは個人の自由だが、ふたりが“棺おけリスト”に果敢にチャレンジしていく姿には、共感を寄せずにはいられない。おそらくそれは、人間に“人生に悔いを残したくない”という根源的な欲求があるからなのだろう。
病床でたまたま出会った地位も立場も違うふたりが、残された人生をまっとうする同志として絆を深めていくくだりが、見る者の気持ちをほのぼのと温める。また、ある程度のお金をかけて目的を達成する前半と、お金をかけることなく、本人たちでさえ予期せぬほど自然なカタチで目的を達成する後半のコントラストも秀逸。どちらがいい悪いではなく、両者の並びは、やはりこれしかないだろう。ふたりの“棺おけリスト”の最後のひとつが消されるシーンも静かに胸を打つ。
特筆すべきは、“棺おけリスト”を実行していくなかで、ふたりがそれぞれに人間的な成長を遂げている点だ。ともすればハンマーでたたこうにも決して割ることのできない頑なさを抱えていてもおかしくない年齢にあって、ふたりが今までの人生にはなかった喜びを手にする姿や、大事なことに気づく姿は、人間の希望そのものといえるだろう。
ただし、残念ながら、鑑賞後の余韻と満足度は100%ではない。ふたりのチャレンジがあまりにも充実を極めすぎているせいなのか、死と向き合うふたりの姿勢に達観めいたものを感じるせいなのか、その原因を特定することは難しいが、思うに、人生に期限を与えられた者にしか分からない悲哀や不安についての言及は、多少なりとも必要だったように思う。
同時に、尺を延ばしてでも(本作は97分)、彼らのバックボーン(とくに過去)を、もう少し丁寧に描き込んでもらいたかった。もしも、余生6カ月に放った特別な輝きを、かつての人生との対比で浮かび上がらせるようなプロットになっていたならば、観客は、終焉を迎える彼らの人生を、より深みのあるものとして捉えられたに違いない。
もちろん、そうした物足りなさを差し引いても、本作「人生の最高の過ごし方」は、見る者の心にポッと灯りをともしてくれるような作品だ。ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンという二大名優の老練な演技も安定感抜群。単調な人生に飽き飽きしている方や、日々の生活で心をすり減らしてしまっているような方の滋養強壮としてオススメしたい。

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