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「奇跡のシンフォニー」

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2008.6.19
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明後日より公開される「奇跡のシンフォニー」の試写。
監督:カーステン・シェリダン 脚本:ニック・キャッスル、ジェームズ・V・ハート 撮影監督:ジョン・マシソン テーマ音楽:マーク・マンシーナ、ハンス・ジマー 出演:フレディ・ハイモア、ジョナサン・リース=マイヤーズ、ケリー・ラッセル、ロビン・ウィリアムスほか 上映時間:114分 配給:2007米/東宝東和
11歳の少年は、生まれたときから両親と離れ離れ。孤児院で孤独な日々に耐えて来た。ある日、施設を抜け出し、両親を探すべくニューヨークへやって来た彼は、ひとりのストリートミュージシャンと出会う。少年は水を得た魚よろしく音楽にのめり込み、無心でギターをかきならすようになるが……。


モーツアルトをも凌駕する天才音楽少年。生まれた直後から孤児院に入れられた少年は、両親の顔すら知らない。でも、彼にはいつでも音楽が聴こえてくるのだ。その音楽は、彼にとって両親に通ずる唯一の道であり、また、少年にとって唯一の歓びでもある。
もしも“音の申し子”がいるとすれば、少年のような人間のことをいうのだろう。瞬間的にギター弾き方を体得し、瞬間的に譜面の書き方を覚え、パイプオルガンを弾き、オーケストラの指揮を執る。もちろん、それらはファンタジーとしてのひとつの見どころではあるが、そこに、この映画の魅力のすべてがあるかといえば、ノン、だ。
見逃せない魅力のひとつ——それは、彼が音楽に触れているときの表情にある。
ふだんはめったに笑わない少年が、音楽に触れているときだけは、なんとも嬉しそうな笑顔を見せるのだ。彼のような音楽的才能に恵まれる人は、数百年に一人かもしれないが、この笑顔を作る才能は、この世に生きるダレもが持ち合わせている。そこに込めた希望が、この作品のひとつのメッセージになっている。
一方、この作品のテーマは「信じる」、そして「必ず届く」である。少年は音楽をやり続けることで、必ずしや両親と出会えると確信している。それはもしかすると、世間擦れしている人ほど実感としてとらえにくい類のものかもしれない。がしかし、少年の「必ず届く」という思いにブレはなく、終盤、その確信に呼応するような結末が待ち受けている。
両親をめぐるラブロマンスを含め、ストーリーは“ベタベタのご都合主義”だが、少年の純真さが、そこに入れる横ヤリを許さない。少年の「必ず届く」という確信は、見事にこの作品のパワーにも還元されており、観客は最後にはこの作品に、“何か”を届けられてしまう。リアリティだけが真実ではないし、絶対でもない。少年の純真さは、「奇跡のシンフォニー」という作品の純真さと言い換えてもいいだろう。
少年の奏でる音楽はもちろん、両親がそれぞれに奏でる歌やチェロをオーバーラップさせた演出が、物語をうまく盛り上げている。超劇的なクライマックスは、さすがにやりすぎという気がしないでもないが、「信じる」、「必ず届く」、それが本作「奇跡のシンフォニー」のテーマである限り、この脚本は間違いではないのだろう。運命のすばらしさは、信じないより、信じたほうが、幸せである。少年のような笑顔を、自分はどんな瞬間にこぼしているだろうか? そんなことを考えさせられるファンタジーだ。

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