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「空へ~救いの翼 RESUCUE WINGS~」

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2008.12.4
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12月13日より公開される「空へ~救いの翼 RESUCUE WINGS~」。
監督:手塚昌明 脚本:内藤忠司、水上清資、手塚昌明、大森一樹 音 楽:和田薫 出演:高山侑子、渡辺大、井坂俊哉、金子賢、鈴木聖奈、瀬戸早妃、浅田美代子、中林大樹、中村俊太、木村佳乃、三浦友和、中村雅俊(特別出演)ほか 上映時間:上映時間:108分 配給:2008日/角川映画
舞台は航空救難隊。女性初となる航空救難ヘリ「UH-60J」のパイロットとなった川島遥風(高山侑子)。訓練を積んでいたある日、戦闘機F-15Jが消息を絶った。遭難したパイロットの救助に向かった遥風だが、ヘリの燃料が残り少なくなり……。


基本は航空救難隊員たちの人間ドラマだが、最大の見どころといえば、緊張感みなぎる救助シーンだろう。ヘリから救助隊員がロープで降り、負傷者なりを引き上げる、アレである。
死と隣り合わせのレスキューには、常に冷静な判断と卓抜の技術力が求められる。簡単な現場はひとつもない。命がけの仕事というのは、まさしくこういうことを言うのだろう。モロに合成なヘンテコ映像も少なくはないが、自衛隊の協力があればこそ撮影できたシーンについては、とりあえず、この作品の生命線と言っていいだろう。
“人の命を救う仕事”ゆえの葛藤やジレンマを浮かび上がらせた人間ドラマの方向性も、間違いではないだろう。航空救難隊の救助率は、もちろん100%ではない。助けられなかった命もたくさんあるだろうし、過去には殉職者も少なからずいるはずだ。悔しさ、虚しさ、哀しさ……。隊員にそうした感情はつきものだろうが、それでも悲観や感傷にフタをして、隊員はまた人を助けるために現場に向かう。それが、彼らの仕事だ。
しかしながら、いかんせんこの映画は、“女性初の救難ヘリパイロット”という設定をまったく活かせていない。主人公が抱える問題や葛藤は、そのほとんどが“女性だから”ではなく、“新人だから”だ。“女性初の救難ヘリパイロット”になるために、女性である彼女が超えたであろう幾多の壁が見えない。それは、実戦以前の描写——たとえば、厳しい訓練など、彼女が積み上げてきた経験が描かれていないせいもあるだろう。
実戦以前の描写を割愛することで、レスキューチームに必要な団結力や信頼感が養われていくプロセスを描く機会も逸している。もちろん、現場のレスキューシーンは本作の醍醐味だが、それだけでは、航空救難隊員たちの骨太なドラマを見せ切ることはできない。少なくとも、主人公の同僚がくり広げるなまぬるい恋のエピソードに優先して、描くべきものがあったはずである。
ブツ切れシーンをつなぎ合わせたかのようなテンポの悪さも、本作「空へ~救いの翼 RESUCUE WINGS~」の弱点だ。唐突かつ不自然なシーンが多いわりに、深めたほうがよさそうな点はゆうゆうとスルー。皮肉を込めて言えば、レスキューという仕事に敬意を感じればこそ、鑑賞に堪えうる作品という言い方もできる。
長編映画初出演にして初主演となる高山侑子は、目ヂカラこそあるが、なにぶん感情を表現する演技力のレンジが狭い。将来性は別にしても、この役でいきなり主演というのは荷が重すぎたかもしれない。決して簡単な役どころではないだけに、キャスティングには、もう少し気をつかうべきではなかったか。

お気に入り点数:40点/100点満点中

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