「レッドクリフ PartII –未来への最終決戦–」
2009.4.8
10日より公開される「
監督:ジョン・ウー 脚本:ジョン・ウー、チャン・カン、コー・ジェン、ジン・ハーユ 撮影監督:リュイ・ユエ、チェン・リー 音楽:岩代太郎 アクション撮影:コリー・ユン 出演:トニー・レオン、金城武、チャン・フォンイー、チャン・チェン、リン・チーリン、ヴィッキー・チャオ、中村獅童、フー・ジュン、ユウ・ヨン、バーサンジャブ、ザン・ジンシェンほか 上映時間:145分 配給:2008年米・中・日・台湾・韓/東宝東和、エイベックス・エンタテインメント
西暦208年、魏、呉、蜀が争う中国・三国時代。曹操(チャン・フォンイー)率いる80万の魏軍に対抗するため、蜀を治める劉備(ユウ・ヨン)の軍師・孔明(金城武)は、知将・周瑜(トニー・レオン)を擁する呉と同盟を結ぶ。一度は蜀と呉の連合軍が優勢に立つも、巻き返しを図る曹操は、疫病で死んだ兵士の遺体を船に乗せて対岸へ送りつける。連合軍にも疫病が蔓延し、劉備は仕方なく自軍の兵を引き上げてしまう……。
有名な「赤壁の戦い」の直前までを描いた「レッドクリフ PartI」の続編にして完結編となる「 PartII」。いきなり戦いの火ぶたが切って落とされるのかと思いきや、まずはたっぷりと時間をかけて両軍の駆け引きを描く。「PartI」で登場人物を把握するのにひと苦労した方でも、開戦までの助走を描いた「PartII」の前半で、再度、登場人物の立ち位置が復習できるようになっている。しかも、映画の本編が始まる前には、日本語&イラストによる親切な概要解説まで行われるオマケ付きだ。
開戦までをじらしにじらす「PartII」。だが、このじらし具合がなかなかどうして見ごたえがある。魏軍の疫病感染作戦、蜀軍のあっけない撤退、孔明の弓矢調達作戦、尚香の恋心、小喬の決断、周瑜の手紙、曹操の疑心暗鬼……。スリリングな頭脳戦を織りまぜながらの分かりやすい展開は、すこぶるドラマチックでもあり、観客の興味をそらさせない。中途半端に原作の世界に縛られるくらいなら、大胆に脚色して万人に楽しんでもらいましょう! という割り切り具合は、ジョン・ウー監督ならではの絶妙采配といえよう。
そして後半は、お待ちかねの赤壁の戦い! 「風」が戦いのときを告げると、闘争心が沸点に達した連合軍が一気に攻め込み、群雄入り乱れる天下分け目の決戦がスタートする。「PartI」の見どころが「馬」だとしたら、「PartII」は「火」だ。今こそVFX(ビジュアル・エフェクツ)の出番なり〜覚悟致せ〜、と燃え盛るファイヤー映像は圧巻。80万対5万の戦いが、目の前で実際にくり広げられているかのようなスペクタクルな光景は、本作「レッドクリフ PartII」の真骨頂。これぞ大作戦記映画と呼ぶにふさわしいスケール感だ。
少数派の胸のすくような大逆転劇は予定調和そのものであり、曹操の末路に至っては美談が強すぎるきらいすらあるが、おそらくジョン・ウー監督は、そんな揶揄めいた評価を受けることなど百も承知で、分かりやすさとドラマ性、それにカタルシスを重視した物語を紡ぎ上げたのだろう。それにしても、一番の泣きどころが、よもや「デブ助」だとは思わなかったが……。
「レッドクリフ PartII」は、喜怒哀楽とスリルとアクションをバランスよく盛り込みながら、個々のキャラクターの魅力を巧みに引き出し、なおかつ愛や友情や信頼といったメッセージを注ぎ込んだ贅沢なエンターテインメント作品だ。満足度は「PartI」の2〜3割増か。すでに「 PartI」がDVD化されているので、未見の方はあらかじめ予習のうえ、劇場に足をお運びのほど。
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