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映画批評「ドゥームズデイ」

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2009.9.15 映画批評
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9月19日公開「ドゥームズデイ」。
監督・脚本:ニール・マーシャル 撮影:サム・マッカーディ 出演:ローナ・ミトラ、ボブ・ホスキンス、マルコム・マクダウェル、エイドリアン・レスター、アレクサンダー・シディグ、デヴィッド・オハラほか 上映時間:110分・R15+ 配給:2008米/プレシディオ
2008年、「死のウイルス」がイギリス全土に蔓延。政府は、すでに数百万人が感染していたスコットランドを「ホットゾーン」と命名して隔離した。2035年、こんどはロンドンで再び「死のウイルス」が流行。政府関係者は、衛星写真で「ホットゾーン」に生存者らしき姿を発見。ここでなら抗ウイルス剤が手に入るかもしれないと考え、女性戦士エデン・シンクレア(ローナ・ミトラ)をリーダーとする精鋭部隊を「ホットゾーン」に送り込むが……。


戦うヒロインを大黒柱に、SF、アクション、ホラー、サスペンスなどの要素を多分に盛り込んだB級精神旺盛な1本だ。WHOが最高警戒レベル「フェイズ6」を出している今日この頃とはいえ、“隔離政策”という名の“見殺し政策”にほかならない「ホットゾーン」の設定は明らかにやりすぎだろう。がしかし、そのやりすぎを「荒唐無稽」と切り捨てられないのは、私自身が“何が起きてもおかしくない”現代社会の病巣を知覚しているからかもしれない。
世紀末の世界を描いた70〜80年代の名作アクションにヒントを得て作られたというだけあって、アクションへの力の注ぎ方に、並々ならぬ熱意とこだわりを感じる。リアルスタントを基本としたバトルや追跡劇は、荒削りながらも見ごたえ満点。クライマックスのカーチェイスに至っては、筋うんぬんを度外視して、製作者がひたすらカッコよくスリリングなカーチェイスを撮りたかったに違いない(ワイヤや合成は一切なし)。その心意気は見事に実を結び、中だるみの激しい中盤のドラマ展開を帳消しにする。9回二死からのスカっとする同点弾だ。
ウイルス感染者の不気味なビジュアル(特殊メイク)や、ドロっとした血のりが印象的なグロ系シーンの数々、70年代のパンクにインスパイアされたという「ホットゾーン」生存者のファッションなども、B級映画ファンから高い支持率を獲得しそうだ。
そして忘れてはいけないのが、ローナ・ミトラ扮する主人公エデン・シンクレアのカッコよさだ。口数こそ少ないが、その目には、強い意志を宿している。鍛え上げられた肉体に、切れ味鋭い動き、的確な判断力……等々で観客を魅了する。ストイックな役作りもさることながら、孤高の戦士役が違和感なくなじむローナ・ミトラ生来の資質も評価したい。イギリス人でありながら、どことなくオリエンタルな雰囲気を醸しているのは、彼女がインド人の血を1/4含んでいるからだろう。
大げさではなく、この映画は、ほとんどローナ・ミトラでもっているようなものだ。アンジェリーナ・ジョリー(「トゥームレイダー」シリーズ)やミラ・ジョヴォヴィッチ(「バイオハザード」シリーズ)とはまたタイプの異なるアクション・ヒロインの誕生である。

お気に入り点数:60点/100点満点中

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